一言で「決算」といってもいろいろな意味を含んでいますが「決算っていつ?」と聞かれた際にどのように回答すればよいでしょうか。
株式投資の勉強をはじめてしばらく間は「決算日」と「決算発表日」の違いが分からず、意識せず投資をすることも多いと思います。
最初のうちは「決算日」を意識していることが多いかもしれないですね。
そもそも「決算日」と「決算発表日」は異なる日付を表していますので、意識する内容も異なります。(ポイント①)
本記事では「決算日」と「決算発表日」の違いと意識するポイントについてまとめました。
ぜひ、次回の決算から活用していきましょう。
目次
1.「決算日」と「決算発表日」は違う
冒頭でも記載しましたが、決算日と決算発表日は全く異なるものとなります。
ポイント
【決算日】
企業であればどの企業でも必ず事業年度という区切りがあります。
その最終日ですね。
ポイント
【決算発表日】
上場企業は決算日から一定期間内に決算を公表しなければならないというルールがあります。
その決算内容を公表する日が決算発表日ですね。
詳しい違いは2章を確認していきましょう。
2.「決算日」とは事業年度の最終日
企業であれば必ず定款(会社を運営するルール)に事業年度を定めています。
この事業年度の最終日を「決算日」といいます。
会社が勝手に決めた日付ですが、日本では3月決算の会社が多く3月31日が最も多くなります。
2-1. 株式投資で意識するのは本決算と中間決算の各期間の最終日
株主優待や配当などの意識して株式投資をしている場合には、この権利をもらえるのが決算日です。(ポイント②)
企業が優待や配当を出すかどうか選択していますので、株主想いの会社は決算日に株を保有していた投資家に優待や配当を出してくれますね。
優待・配当の有無、中間決算時にも優待・配当を出すかどうかは個別企業の情報を確認する必要があります。
注意ポイント
決算日に保有している条件は変わりませんが「権利落ち日」という考え方があります。
権利落ち日に持っていると優待や配当がもらえることから、優待や配当がほしい投資家は権利落ち日に向けて購入していきますので、株価は上昇しやすい傾向があります。
実際に配当や優待をもらいたい場合には、権利落ち日や例年の決算に向けた株価の推移も確認しておきましょう。
2-2. 決算日を決めているのは定款
定款とは、この写真のようなものです。
すべての会社にありますが、経営者の方々くらいしか目にしないのではないでしょうか。
ポイント
(事業年度)
第〇〇条 当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとする。
定款のイメージ
2-3. 決算月が同じでも決算日は企業ごとに異なる
「3月決算の会社」など、企業の決算は日付ではなく月で話をすることが多くなります。
しかし、3月決算の会社は決算日を必ず3月31日にしなければならないというルールはありませんので、3月10日でも3月21日でも構いません。
定款に定めた日が決算日です。創業記念日などを決算日にしている会社もありますが、分かりやすく末日にしている会社が多いです。
また、前年の決算日の翌日から本年度の決算日までの1年間の会社業績が今期の業績となります。
慣れてきたら四半期決算ごとに決算日はありますので、第一四半期、第二四半期(中間)、第三四半期、本決算の4回を意識します。
ポイント
3月決算で決算日が3月末の会社の四半期決算日は、次のとおりです。
第一四半期 : 6月末日
第二四半期(中間): 9月末日
第三四半期 : 12月末日
本決算 : 3月末日
(参考)決算日はいつ?
決算月ごとにまとめたページのリンクです。
決算日は定款を変更しない限り変わりませんので、前年の決算日を参考にすれば把握できます。
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3.「決算発表日」とは決算内容を発表する日(年4回)
上場企業は決算日をむかえると、一定期間内に四半期決算(3ヶ月間および今期の累積の業績)の内容を公表する義務があります。
この四半期ごとに業績を発表する日を決算発表日といいます。
3月決算の会社が発表する8月半ば(1Q)、11月半ば(2Q・中間)、2月半ば(3Q)、5月半ば(4Q・本)に発表される企業が多くなります。
3-1. 株式投資で意識するのは決算発表日に公表される決算短信
決算短信や同時に公開される決算補足資料(任意)を見ると、上場企業の現状が赤裸々にわかるためいろんな意味でサプライズにつながる可能性が高くなります。(ポイント③)
決算短信は変化に反応しますので、決算短信を読み込んだうえで決算補足資料で確認していきます。
ポイント
探すのはサプライズ内容やビックチェンジにつながるような内容
・前年より業績が大幅に伸びている
・前年より業績が下がっている
・事前の期待値より高い or 低い
・契約残数(受注残)が多い
・今期の業績を事前予想から上方修正 など
注意ポイント
決算発表日に発表された資料は、多く投資家から決算発表日当日にチェックされます。
前回発表資料や上記のポイントなどの観点から評価されて、何らかのサプライズがあるとPTSで売買が始まったり、翌朝の寄りから相場が大きく動いていきます。この乱高下には十分な注意が必要となります。
決算短信のイメージ
参考
決算短信の類似資料として「有価証券報告書」というものがありますが、有価証券報告書は決算発表日よりもさらに遅く発表されます。
有価証券報告書は法的に義務付けられた確定版となります。
3-2. 決算日が同じでも決算発表日は異なる
決算短信は投資家に企業の状況を早く知らせるためのルールで、公開についてはルールがあります。
決算の45日ルールとも言われますが、「決算短信・四半期決算短信作成要領等」では「決算後30日以内、遅くとも45日以内に開示することが望ましい」とされています。
よって、決算発表日は決算日から45日以内のいずれかの日程を企業が選定してその日に発表します。
一番多い決算日である3月31日を決算日としている会社でも、5月半ばまでのいずれかの日程で決算発表するためバラバラになります。
3-3. 決算発表日はいつ
企業が毎年暦に応じて決めているため、決められた日付にはなってません。
1年間の決算カレンダーを公表している会社もあれば、途中で発表する会社もあります。
また、発表時間も多くの会社はその日の相場が閉まったあと15時過ぎに発表されますが、場中に発表する企業もあります。
決算発表日の一覧を確認するのであれば、トレーダーズウェブを参考にするのがおススメです。
もちろん証券会社のツール・アプリや株探等でも次回の決算発表を確認することができます。
決算発表日の一覧
さいごに
「決算日」と「決算発表日」の違いは分かりましたでしょうか。
会社が定めた事業年度の最終日を意図する「決算日」と、決算日までの業績を決算の45日ルール内に発表する決算発表日という違いがあることがお分かりいただけたと思います。
本記事の3つのポイントを振り返ると
「決算日」と「決算発表日」は異なる日付を表していますので、意識する内容も異なります。(ポイント①)
株主優待や配当などの意識して株式投資をしている場合には、この権利をもらえるのが決算日です。(ポイント②)
決算短信や同時に公開される決算補足資料(任意)を見ると、上場企業の現状が赤裸々にわかるためいろんな意味でサプライズにつながる可能性が高くなります。(ポイント③)
いずれも投資家として意識したい日付ですので、本記事を確認して投資に役立てていただければと思います。