03.ファンダメンタル編

BPSで株式投資の目安を把握!初心者が押さえておくべき割安基準

「株式投資をする際にBPS(一株純資産)の目安はどのくらいがいいのだろうか。。。

「BPSとPBRを見て1倍以下の株を買うといいって聞いたけど本当なの?

BPSについてこのような疑問があって検索をされていらっしゃるかと思います

 

四季報を見ていると「株主欄の下」「P/L(業績)の右」の欄に「BPS(円)」がありますよね。このBPSの値が気になっている値ですね。

 

BPSは日ごろはPBRを計算するデータとして利用されるケースが多いですが、BPSを目安として企業を見分けるのも一つ大切なことだと思います。

本記事ではBPSを株式投資で利用する場合の目安や意味合いと、業種別のBPSの活用法などについてご紹介をしていきます

 

1.株式投資でBPSの目安を活用する意義は割安性の判断

BPS(一株純資産)は「解散価値」とも言われ「企業の安定性」を確認する指標です。

BPSが高い企業ほどその企業の安定性が高いと言われています

 

一方で、株式投資ですので次の点は注意が必要です。

注意ポイント

これらのケースはBPSが高くても株価の上昇がなかなか見込めません。

「すでにBPSが高い株は評価されていて割高」

「みんな高いことを知っているのに評価されずに株価が伸び悩んでいる株」

 

よって、一概に「BPSの高い銘柄を購入すればいい」とは言えないため、「企業の安定性が高く(BPSが高い)」「株価の低い銘柄」を選ぶと、割安な銘柄(PBRで評価)を購入できる確率が高くなるということです。

 

逆に考えると、BPSがある程度は低くてもこれからBPSが成長していく株を購入することも割安株を購入していると言えます

 

以上から、だましを見抜いて結果につなげるためのBPSを活用する目安の考え方は2章でご説明をしていきます。

 

(参考)BPSの基本概念を再確認

BPSの基本概念について再確認しておきましょう。

 

参考

BPSとは・・・

日本語では「一株純資産」といい、英語では「Book Value Per Share」のことでこちらの略称でBPSといいますね。

BPS = 純資産(株主資本) ÷ 発行済み株式数

※純資産が多くても発行済み株式数が多いとBPSは低くなります

※純資産を活用するため、決算発表後に数値が変動します

 

2. BPS(一株純資産)の3つの割安性の目安と活用法

BPSの割安性を活用した投資の目安としては、次の3つを押さえておくとだましを避けた株式投資に役立ちますね

(1)BPSの値の大きさ・成長性を確認する

(2)業種別平均のBPSと比較する

(3)競合他社のPBRと比較する

 

BPSは個別株の判断基準だけでなく、業種別平均や競合他社との比較も重要となります

業種柄BPSが全体的に低い業種もありますので、BPSだけでの判断ではなく総合的な判断が必要となります。

全銘柄一律ではなく、特徴や他の指標を鑑みて判断をしていきましょう。

 

2-1. BPSの目安①:BPSの値の大きさ・成長性を確認する

購入したい銘柄のBPSを確認する場合には「BPSの大きさ」「BPSの成長性」について確認していくとよいでしょう

 

まずはBPSの値が高いか・低いかどうかを確認していきます。

感覚というわけにはいきませんので、本ページの作成日の上場企業全体平均のBPSは「1,813円」(FPIT調べ)となります。

一つの目安として、1,813円という平均と比較して高いか安いかを判断していくのも良いですね

 

次にBPSの成長性について確認していきます。

BPSが増えていく会社は、今期決算が出ると利益が純資産として計上されるため、発行済株式数が同じであればその分BPSが高くなります

よって、今年より成長して純資産が増える銘柄は、割安銘柄になっていきます

注意点としては、四半期決算でもBPSは変動しますが、企業の事業の特性により第一四半期に仕入れが多いと支出が増えるなど、純資産の期内変動がある可能性がありますので、決算発表された数値を使うことがベストです。

もちろん、ファンダメンタル分析をしっかりしていれば、発表を見越した先行投資も良いですね。

 

2-2. BPSの目安②:業種別平均のBPSと比較する

BPSを考える以前に、ビジネスモデルからBPSが高くなったり低くなったりするのは業界・業種の特徴がありますね

 

先ほど、上場企業全体平均のBPSは「1,813円」(FPIT調べ)というデータを出しましたが、実は上場している企業を業種ごとに業種別平均のBPS一覧を作成すると次のようになります。

 

33業種のうち平均は26位と27位の間にありますので、業種別平均のBPSで該当する銘柄が属する業種の平均BPSをこちらの表から目安として比較するといいですね

 

平均BPSランキング(全業種)

業種平均BPS
1銀行業4,877
2鉱業3,825
3鉄鋼3,573
4陸運業3,532
5金属製品3,116
6ガラス・土石製品2,726
7化学2,698
8輸送用機器2,697
9海運業2,657
10ゴム製品2,604
11パルプ・紙2,553
12建設業2,488
13倉庫・運輸関連業2,441
14電気・ガス業2,428
15卸売業2,391
16機械2,337
17非鉄金属2,331
18保険業2,261
19電気機器2,217
20繊維製品2,171
21食料品2,126
22その他製品2,035
23石油・石炭製品1,938
24その他金融業1,806
25水産・農林業1,791
26医薬品1,331
(全体平均)上場企業全社1,318
27精密機器1,306
28不動産業1,248
29小売業1,160
30証券・商品先物取引業1,063
31サービス業791
32空運業786
33情報・通信業741

出典:FPITによる独自調べ

2-3. BPSの目安③:競合他社のPBRと比較する

BPSの値を株で取り扱う方の多くは「PBR」を計算して利用することが多いとか思います

 

投資したい銘柄のBPSが高いのか・低いのか、そして業種平均と比較してどうなのかはすでにチェックする際の考え方をお伝えしましたが、競合の会社との比較はBPSと株価を加味してPBRで比較するのも良いかと思います

 

PBRとBPSの考え方はこちらになります。

・PBR = 株価 ÷ BPS(一株純資産)

・BPS = 純資産(株主資本) ÷ 発行済み株式数

 

PBRとBPSを使って目安を考える場合、例えばこちらの①②のようなケースを考えていきます。

 

こちらはBPSと株価がまったく異なりますが、PBRはともに1倍になります。

①「BPS=10,000円」の企業の株価が10,000円

②「BPS=100円」の企業の株価が100円

PBRの割安判断の1つのポイントとしては「PBR=1倍」は割安株なので、BPSが高い銘柄は株価が高くても割安ということになります。

見方を変えるとBPSが高い銘柄ほど、割安になる可能性が高くなりますね

 

同業銘柄と比較して、PBR自体が割安なのか、PBRは高いけれど同業の中では割安なのか、複合した判断をするといいですね。

 

3. BPSランキング(トップ30)

BPSのランキング(トップ30)を作成しました。

 

独自に調べたトップ30を掲載しますので、こちらの銘柄傾向や特徴、業種などを確認してみましょう。

 

トップ30にはJR東海、銀行、東映、しまむらなどが含まれており、確かにBPSが高い株は業績が良く成長していることが想像できます

しかし、BPSをきっかけに銘柄を探すというより、PBRなどの指標から割安だと感じる銘柄をチェックして、その際にBPSを確認するという流れの方がよさそうですね

 

BPSランキング トップ30

証券CD銘柄名上場区分業種BPS
14628エスケー化研東証S化学48,823
27485岡谷鋼機名証卸売業29,984
36273SMC東証P機械23,808
47887南海プラウッド東証Sその他製品21,574
54365松本油脂製薬東証S化学19,544
65922那須電機鉄工東証S金属製品19,521
79022東海旅客鉄道東証P陸運業19,102
87950日本デコラック名証化学18,945
95918滝上工業東証S金属製品16,945
109605東映東証P情報・通信業16,176
119407RKB毎日HD福証情報・通信業16,054
125983イワブチ東証S金属製品15,921
138522名古屋銀行東証P銀行業14,707
148369京都銀行東証P銀行業14,470
157464セフテック東証S卸売業13,810
165304SECカーボン東証Sガラス・土石製品13,789
176943NKKスイッチ東証S電気機器13,637
181793大本組東証S建設業13,503
191718美樹工業東証S建設業13,366
207299フジオーゼック東証S輸送用機器13,336
219311アサガミ東証S倉庫・運輸関連業12,750
228392大分銀行東証P銀行業12,552
232221岩塚製菓東証S食料品12,435
246201豊田自動織機東証P輸送用機器12,360
251758太洋基礎工業東証S建設業12,217
263597自重堂東証S繊維製品12,156
279632スバル興業東証Sサービス業12,093
283443川田テクノロジ東証P金属製品12,029
298227しまむら東証P小売業11,974
307932ニッピ東証Sその他製品11,618

出典:FPITによる独自調べ

 

4. BPSを活用した銘柄選定のチェックリスト

BPSで株式投資をする際の目安についてご紹介してきましたので、ポイントが把握できたかと思います。

 

初心者が押さえておくべき割安基準について、チェックリストを作成しましたので本記事の整理および実際に投資をする際のチェックリストに使っていただければと思います

 

BPSの割安度のチェックシート

判断ポイント判断結果
BPSの値はいくらだったか
BPSは全体平均と比較して高いか・低いか
BPSは業種平均と比較して高いか・低いか
BPSは同業他社と比較して高いか・低いか
BPSは今期決算後に高くなるか(成長するか)
PBRは本日時点で何倍か(小数点第2まで)
全体を通して割安だと判断できるか

 

株式投資にはいろいろな投資法がありますが、中長期的に見て割安株を購入して資産を増やしていくという投資法の場合、上記のチェックリストを活用して、BPSが高いまたは成長をしていく銘柄でPBRが1倍に近くなることを目安にして銘柄を選定するといいですね

また、PBRが1倍であっても株価が1000円以下であっても、BPSが低い場合には業績にも注意して投資をした方がいいですね。

 

さいごに

BPSの目安を意識することは株式投資の中でも稀だと思いますが、PBRやPERなどを使って割安株を探したりしていると、BPSが気になってくることも間違いありません

 

BPSが高いから投資対象とは一概に言えませんが、BPSが高い株は割安になる可能性も高いことから、PBRだけでなくBPSとセットで確認していきましょう

ご自身の投資スタイルに合わせて、特にバリュー株投資の方はこちらのBPSの値をしっかり確認して投資をしていきましょう。

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▶「株式投資×IT活用」を考える兼業投資家
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