株式投資をしていると「出来高が多い銘柄を選定した方がいい」「出来高が急増したら注目」というような説明を見る機会が多くなり、「出来高ランキング等」を見て投資をしたもかかわらずそのあと株価が上がらなくてお悩みという状況ではないでしょうか。
「出来高が多い銘柄」といっても、日ごろから出来高が多い銘柄もあれば、急に出来高が急増した銘柄もありますね。
出来高が多くても下落したような銘柄は継続保有がNGだとすぐに判断できますが、「四半期決算などで良い発表がされたあとに下落せず、出来高も多いけど上昇しない」という現象に遭遇すると悩みますよね。
本記事では、出来高が多いのに株価が上がらなくて困っている銘柄の投資継続判断についてご紹介していきます。
目次
1. 出来高が多いのに株価が上がらない理由は需給の均衡
出来高が多いのに株価が上がらない理由はいくつも考えられますが、最もシンプルな理由は「売りたい投資家さんと買いたい投資家さんが同じ」又は「売りたい投資家さんの方が多い」ケースかと思います。
出来高は1日に取引された量そのものですので、出来高が多いということはその銘柄はそれだけ注目はされています。
しかし、注目されていても、出来高が多いのに株価が上がらないという状況は、みんながその銘柄を購入して株価を上昇させたいと思うような注目では無さそうですね。
企業が発表しているニュースや業績発表、業界動向などをあらためて確認して、投資家の皆さんがどんな目線でその企業を見ているのか確認することが大切です。
もう一つの注意点としては、業績がよければ株価が上昇するわけではありませんので、他の投資家さんたちの期待値と現状とのギャップがどれだけあるか確認していきましょう。
2. 出来高が多い状況が起こる2つのケース
出来高が少なくても株価が上昇するケースも珍しくなく、出来高が多くても株価が上がらなかったり、下落することがあります。
出来高が多い株を見つければ投資で勝てるということは全くありませんが、出来高が多い状況が起きている銘柄の状況を確認していきましょう。
では、そもそも普段の相場においてどのようなケースの場合に出来高が多い状況が起こるか確認していきましょう。
2-1. 日ごろから買いたい人と売りたい人がたくさんいる(長期)
1日の出来高が日ごろから1万株くらいしかない銘柄もあれば、100万株を超えるような銘柄もあります。
100万株の出来高が続くような銘柄は、個人投資家だけでなく機関投資家を含めて多くの方が、その銘柄について買いたい・売りたいと思って実際に売買をしていることになります。
つまり、出来高が多い銘柄は人気であることは確かです。
どんな大きな規模の機関投資家であっても売りたいときは誰かが買ってくれないと売れませんし、買いたいときも誰かが売ってくれないと買うことができません。
出来高ができているということは、買いたい人と売りたい人が実際に売買したということですね。
そのような状況で株価が上がらないということは、買いたい投資家さんと売りたい投資家さんがたくさんいて、どちらかというと売りたい投資家さんの方が多いので買いたい投資家さんが購入して少し株価が上がるとすぐに売られてしまって、株価が伸びていかないということになります。
2-2. 新しいニュースや業績が発表されて注目された(短期)
新しいニュースや業績が発表されると、その内容に投資家さんが反応して売買が活発になることがあります。
サプライズの上方修正や提携・レーティングの変更などその銘柄に対する期待値とギャップがあるような発表があると注目を浴びることがあります。
良いギャップの発表があって出来高が急増する場合は、株価も一緒に上昇するケースが高いです。
ただし、発表時点の投資家さんの状況によって反応が左右されますので、含み損を抱える投資家さんが多い状況のような下落傾向の銘柄については、株価が急騰してもその時点で損失確定をするなどの投資家さんが増えてしまうと株価が伸びません。
また、発表された内容が仮に上方修正だったとしても、想定範囲内だと認識して失望売りをする投資家さんと、事前に予想しておらず良い発表だと感じて期待値を高く持つ投資家さんとの間で売買が活発化されると出来高が急増します。
しかし、これも結果的には売りたい投資家さんと買いたい投資家さんが増えて、どちらかというと売りたい投資家さんの方が多いことで株価が上がらない状況になります。
3. 出来高の変化に応じた5つの投資判断
出来高が多いのに株価が上がらない理由がわかってきたかと思います。
その中で、今回のように出来高が多いのに株価が上がらない銘柄への投資を継続するかどうかの判断ポイントを確認してきましょう。
次の5つのケースが考えられますので、それぞれ投資判断の考え方を確認しましょう。
出来高の変化状況 | 投資判断 | |
1 | 出来高が多くなった根拠にサプライズがある | 買いor保有継続 |
2 | 出来高が急増してそのあとも継続的に多い | 状況見極め |
3 | 出来高が1日だけ多くて翌日から少なくなった | 投資見送り |
4 | 出来高が継続的に多いが株価が上がらない | 投資見送り |
5 | 出来高が増えて下落が始まった | 投資見送り |
3-1. 出来高が多くなった根拠にサプライズがある(買いor保有継続)
出来高が多い状況といっても、もともと出来高が多くてさらに増えたケースや、出来高がもともと少なくて出来高が普段より増えたケースなどがあります。
どちらも普段の出来高からの変化があるという点が重要ですね。
出来高移動平均線が表示できるチャートを利用していれば、それよりも増えたかどうかが基準にできます。
そして、この普段の出来高から増えたという場合、その根拠があるかどうかが大切になります。
本記事は出来高が多いのに株価が上がらない理由を説明していますのでそれを前提にご説明します。
そうすると、この根拠が良い内容なのに上がらない場合には、売りたい投資家さんと買いたい投資家さんが均衡する内容だったということですね。
良いニュースでも投資家さんによっては期待を上回らない場合には売却するケースもあります。
ご自身にとって上昇するほどの良い内容だと判断できれば、それはこのあとの上昇に備えて買いの判断または、保有している場合には保有継続の判断で良いかと思います。
3-2. 出来高が急増してそのあとも継続的に多い(状況見極め)
出来高が急に多くなってそのあとも継続的に出来高が多いままになるケースは、以前よりその銘柄に対する注目度が高くなり、そのまま注目度が継続していると考えられます。
出来高が急増したあとに元の出来高相当に戻るケースも多くみられるため、出来高が継続して増加していということはご自身も注目しておいた方が良さそうですね。
つまり、銘柄に対する注目度があがって出来高が増えたにも関わらず、なぜ売りたい投資家さんと買いたい投資家さんが同じ規模なのかという理由が大切になります。
本記事は出来高が多いのに株価が上がらない理由を説明していますのでそれを前提にご説明します。
出来高が増えた理由に根拠があるかどうかは分かりませんが、出来高が継続的に増えているのに売りたい投資家さんと買いたい投資家さんが同じくらいの場合には株価が上がりません。
出来高が増えて注目度が上がっているにもかかわらず、なぜか株価が上昇しない場合にはその理由をしっかりと考えた方がいいので状況見極めとなります。
3-3. 出来高が1日だけ多くて翌日から少なくなった(投資見送り)
出来高が1日だけ急増して翌日から元に戻ってしまうという銘柄はたくさんありますが、このケースは一時的な人気で終わってしまったケースが考えられます。
時事的なニュース(少子化対策、補助金など)や業績にはすぐに直結しない提携などが発表された場合、これらの銘柄は一時的なニュースで話題を集めたものの個人投資家だけが反応した可能性があるかと思います。
よって、1日だけ出来高が多くなっても、そのあと継続しない場合には人気が元に戻ってしまいますので、なぜ出来高が増えたのか確認が必要ですね。
本記事は出来高が多いのに株価が上がらない理由を説明していますのでそれを前提にご説明します。
出来高が日ごろから多くない銘柄が、何かをきっかけにいつもよりも出来高が1日だけ大幅に増えたあと、翌日以降に戻ってしまうケースは株価が上がらないケースが多くなります。
出来高が1日だけ増えて継続しない場合には、その銘柄の価値が上がったのではなく時事的な要素が高いことが多く上昇する理由につながらない可能性が高いため投資は見送りの判断になります。
3-4. 出来高が継続的に多いが株価が上がらない(投資見送り)
出来高のチャートを見ると常時出来高が多いのに株価が上がらない銘柄があります。
何らかの人気があったり、時価総額が大きくて売買している投資家が多いケースがありますが、上がらない理由があるはずです。
理由は各銘柄ごとに調査が必要ですが、売りたい投資家さんと買いたい投資家さんが同じか、売りたい投資家さんが多い可能性があります。
本記事は出来高が多いのに株価が上がらない理由を説明していますのでそれを前提にご説明します。
単純に機関投資家などが買い集めをしている期間であればそれなりに出来高もあると思いますが、常時高い銘柄で株価が上がらない銘柄はさらに出来高を増やさないと株価が上昇しないのでそのタイミングを見計らう必要がありますね。
なぜ常時出来高が多いのに株価が上がらないのかは調査が必要ですが、ニュース等に変化が無い場合には上昇する理由もないことから株価が上がらない可能性も高く見送りの判断になります。
3-5. 出来高が増えて下落が始まった(投資見送り)
出来高が一時的に多くなったり、ある日を境に出来高が多くなったあとに下落を始める銘柄があります。
ニュースなどをきっかけとしてその銘柄を利益確定する、または売りを仕掛けるケースがありその際に下落していきます。
下落は必ずしも業績が悪いから下落するわけではなく、投資家の心理や過熱感などさまざまな理由があります。
本記事は出来高が多いのに株価が上がらない理由を説明していますのでそれを前提にご説明します。
ニュースや決算発表などのさまざまな情報がきっかけとなったり、テクニカルの視点で過熱感があったりすると出来高を伴って下落を始めることがあります。
出来高が増えたのに株価の下落が始まった場合には、買いたい人より売りたい人の方が多いということになりますので、投資は見送りの判断となります。
4.さいごに
出来高が多いのに株価が上がらない理由についてご紹介した上で、投資継続の判断ポイントを5つのケースでご紹介してきました。
出来高が多いということは、多くの株主から注目を得ていることは間違いありません。
しかし、良い理由で注目を集めているのか、悪い理由で注目を集めているのか、またはそれ以外なのか、どんな理由で注目をされているのかについて、しっかりと調査をする必要があります。
出来高が多いのに株価が上がらない理由が、相場全体の影響なのか、銘柄固有の理由なのか、いろいろな角度で調査をして出来高が多い理由と株価が上がらないを考えましょう。
出来高が多いのに株価が上がらないケースは、継続保有の場合には良いですが、新規で買うタイミングとしては課題があるケースが多いため、可能であれば出来高が増えて上昇している銘柄を探しましょう。