「PEGレシオを見て割安成長株を買った方がいい」など、PRGレシオという言葉を聞いて、どのような指標なのか、本当に使えるのだろうかなどと疑問に思って調べられているのではないでしょうか。
PERやPBRを使って割安銘柄を探して投資をする方も多いと思いますが、PEGレシオを使った割安株を探す投資法もあります。
ポイント
「割安株」という言葉をよく聞きますし、ご自身で使うと思いますが「何と比べて割安なのか」がとても大事です。
「PER」「PBR」そして「PEGレシオ」の割安の意味をしっかり確認しましょう。
本記事では、PEGレシオの考え方や活用方法を順番にご紹介していきます。
目次
1. PEGレシオとは「利益成長」から割安株を探す方法
投資する銘柄を探すときに「割安株」を探して買いたいとは誰もが思うことですよね。
PEGレシオ(ペグレシオ)は、PERと利益成長率を使って割安株を探すための指標ですので、「利益成長」に対して株価が割安かどうかを見ていきます。
ポイント
PEGレシオは、一般的に「高PER銘柄=割高」と言われることが多い中で、この企業が今期から来期に向けて大幅に成長するのであれば「実は割安なのでは」という視点で考える指標です。
その際の成長を売上高成長率ではなく「利益成長率」で確認する指標になります。
高PERの銘柄をわざわざ買わなくても・・・という考え方もありますが、新高値銘柄を買う手法などを取っている場合には必然と必要な指標になるかと思います。
一方で、「新高値を取った銘柄の株価が高いか・安いか」という話も似ていますが、何に対して「高い・安い」「割高・割安」と言っているのか、比較している対象が感覚であったり、イメージであったり、意外と定まっていな投資家さんが多いと思いますので、比較対象を意識すると考え方が変わってきますね。
2. PEGレシオの計算式と自分で計算する方法
PEGレシオは、PER(株価収益率)を利益成長率で割って算出しますので、今期と来期の利益成長率から割安感を判断する指標ということがわかりましたよね。
では、実際の計算式とその結果がどんな数値だと割安なのかを計算する方法について確認していきましょう。
2-1. PEGレシオの計算式
PER(株価収益率)を利益成長率で割って算出しますので、計算式はこちらになります。
PEGレシオ=PER(株価収益率)÷ 企業の利益成長率(%)
PERと利益成長率をとのような値を取ってくればよいのかについては、このあとご紹介しますが、式からわかることを確認しておきましょう
ポイント
PERが高くても利益成長率が高ければPEGレシオは低くなりますし、割安だと思っていた低PER株は利益成長率が低ければPEGレシオが高くなります。
2-2. PEGレシオで使われるPERの考え方
PERは日々の株価で変動します。
PEGレシオは、そのPERが割安かどうかを判断するための指標となりますので最新のPERを活用します。
2-3. PEGレシオで使われる利益成長率の考え方
利益成長率は、少し複雑です。
まず、今期と来期の利益がどう成長しているかを考えていきますが、今期と来期の利益については予想であり、その予想数値の発表元が複数ありますので、ご自身で計算する場合にはどこが発表した利益予想を使うかについて判断が必要です。
どの数値を使うかで結果が変わるので、どんな意味合いでPEGレシオを活用したいかによってデータの取得先も考えといいですね。
利益予想は主にこちらの3つがありますね。
「企業が発表している利益予想」
「コンセンサスが発表している利益予想」
「東洋経済(四季報)が発表している利益予想」
証券会社などPEGレシオの計算結果を出しているサイトでは「コンセンサス」が発表している利益予想を使っているところが多いですね。
また、PRGレシオの応用として次のような考え方もできます。
企業の利益成長率には「純利益」が利用されることが多いですが、特別利益・特別損失など本業の成長以外の影響を受けることがあります。
本業の利益成長をもとに割安かどうかを判断したい場合には、営業利益や経常利益を使って独自のPEGレシオを作るのも良いと思います。
3. PEGレシオから割安と判断できる基準は「1」以下
PEGレシオを計算したら、結果の数値を見て割安かどうかを確認しましょう。
こちらの表のように判断しますので、PEGレシオが1以下かどうかが割安かどうかの判断基準となります。
PEGレシオ | 判断結果 |
1以下 | 割安 |
1より大きい~2以下 | 適正 |
2より大きい | 割高 |
注意ポイント
PEGレシオがマイナスの場合
今期と来期の予想EPSから計算した結果、来期の方がEPSが低い、つまり減益の場合にマイナスとなります
PRGレシオの特性上、成長株投資をしている場合には、PEGレシオがマイナスの企業は完全に対象外ですね。
※今期、大きな特別利益があった場合などは検討の余地あり
4. PEGレシオとPER・PBRの割安性の違い
PEGレシオを見ると「今期と来期」の利益成長がキーとなりますので、将来の成長に対しての割安かどうかを確認していますね。
指標 | 割安の考え方の違い |
PEGレシオ | PERが今期から来期への利益成長率と比較して割安かどうか |
PER | 株価が今期のEPS(一株利益)に対して割安かどうか |
PBR | 株価が直近の実績BPS(一株純資産)に対して割安かどうか |
PERは、今年の会社発表の当期利益予想を基にEPSを出していますので、今期の成績に対しての割安感を確認しています。来期以降は見てないですね。
PBRは、実績BPSですので証券会社や株情報を配信しているサイトごとに異なりますが、前期決算の純資産から計算しているところと、四半期決算の結果を反映しているところがありますが、決算発表された実績の資産に対して割安感を見ていますね。こちらは今期の業績や来期以降は見ていないですね。
5. PEGレシオで驚きの実例!割安株の新たな発見
PEGレシオで一番驚くのは高PER銘柄です。
高PER銘柄でPEGレシオが1以下の場合と、低PERだがPEGレシオが高い場合やマイナスの場合についてみてみましょう。
簡単に触れておくと、次のような3つの会社があって、A社がPER50倍、B社・C社がPER10倍のとき、PERを勉強しているとA社は「割高」で、B社・C社は「割安」と判断しがちです。しかし、直近の成長率を加味したり、決算で良いニュースが出るなど、上昇の可能性を秘めているA社が一番割安と考えられるというものです。
PER | 利益成長 | 判定 | |
A社 | 50倍 | 50% | 割安 |
B社 | 10倍 | 5% | 割高 |
C社 | 10倍 | -10% | 割高 |
PEGレシオを見て新たな「割安」「割高」の気づきがあり驚くパータンをご紹介します。
5-1. 高PER(30倍以上)でPEGレシオが割安な例
PERが30倍を超えていても、PEGレシオが1以下で割安となる銘柄の一例です。
一覧を見てみると、PERが100倍を超えても割安というのは、かなりの驚きかと思います。
証券CD | 銘柄名 | 時価総額 | PEG | PER | 株価 |
3990 | UUUM | 167 | 0.27 | 36.91 | 836 |
4371 | コアコンセプト | 483 | 0.70 | 104.34 | 2,926 |
4417 | グローバルS | 374 | 0.82 | 132.99 | 5,380 |
4442 | バルテス | 204 | 0.44 | 47.52 | 2,859 |
4475 | HENNGE | 346 | 0.42 | 107.79 | 1,065 |
4493 | CSクラウド | 171 | 0.82 | 99.72 | 1,812 |
6030 | アドベンチャー | 786 | 0.45 | 46.44 | 10,450 |
6069 | トレンダーズ | 148 | 0.27 | 34.61 | 1,937 |
9246 | プロジェクトカン | 379 | 0.75 | 95.00 | 6,610 |
9554 | AViC | 80 | 0.70 | 34.53 | 1,400 |
実際には有価証券報告書等をのファンダメンタルを確認してからの投資が必要ですが、今期から来期にかけてかなりの成長期であれば本決算後には対象となるEPSが変わるのでPERが下がり割安感が出てくるパターンですね。
5-2. 低PER(10倍以下)でPEGレシオが割高な例
こちらの銘柄はPER10倍以下の低PERであり、いわゆる割安株です。
しかし、一覧を見てみるとこちらの銘柄は来期の成長幅が小さいとされていることからPEGレシオが高くなります。
証券CD | 銘柄名 | 時価総額 | PEG | PER | 株価 |
3050 | DCMHLD | 1,817 | 5.42 | 9.17 | 1,157 |
4347 | ブロードメディ | 81 | 4.05 | 7.68 | 1,023 |
9412 | スカパーJHD | 1,395 | 2.45 | 9.47 | 469 |
9696 | ウィザス | 102 | 2.35 | 7.43 | 1,008 |
来期成長しない銘柄が割安として買われる可能性は低いので、長期投資なら良いかもしれませんが、投資対象には難しい銘柄かと思います。
5-3. 低PER(10倍以下)がでPEGレシオがマイナスの例
こちらの銘柄もPER10倍以下の低PERであり、いわゆる割安株です。
しかし、こちらは来期の純利益がマイナス予想の銘柄となりますので、PEGレシオがマイナスになります。
証券CD | 銘柄名 | 時価総額 | PEG | PER | 株価 |
3034 | クオールHLD | 454 | -1.96 | 7.81 | 1,168 |
4819 | Dガレージ | 2,256 | -1.95 | 7.24 | 4,740 |
9413 | テレビ東京HD | 537 | -1.51 | 9.06 | 1,947 |
9435 | 光通信 | 8,483 | -7.11 | 9.79 | 18,830 |
来期マイナス成長の銘柄が割安として買われる可能性は低いので、こちらも投資対象としては難しい銘柄かと思います。
6. PEGレシオを自分でスクリーニングする方法
PEGレシオを自分で計算してもいいのですが、PERが変化していきますので日ごろは簡単にチェックしたいですよね。
特に高PERの銘柄は株価の変動も大きいので、PEGレシオも変わりますので気軽なチェック方法をみていきましょう。
こちらの2つの方法についてご紹介をしていきます。
・個別銘柄のPEGレシオを調べる方法
・スクリーニングでPEGレシオ一覧で表示させる方法
6-1. 個別銘柄のPEGレシオを調べる方法
個別銘柄のPEGレシオは意外と掲載されていないですね。
Yahooファイナンスや株探では表示されていない指標で、証券会社でもスクリーニング項目にあるのに、なぜか銘柄の個別ページに表示していないケースが多いです。
楽天証券には、PEGレシオがありますね。
銘柄を検索して「指標」のタブをチェックするとPEGレシオを確認することができます。
(予)ですので、先に説明したとおりコンセンサスの今期・来期の予想使っていますね。
3章のリストとは取得した日が異なるので、株価・PER・PEGレシオが若干異なります。
もう1つ、バフェットコードにもあります。
バフェットコードは、前期の実績EPSと今期の予想EPSを使っていますが、(会)とついているので会社発表のデータを使っていますね。使うデータが異なるので、意味合いが違う点には注意が必要ですね。
銘柄を検索して「企業概要」を調べるとPEGレシオがあります。
取得しているデータが異なるので、こちらは1.5倍になっていますね。
6-2. スクリーニングでPEGレシオを一覧で表示させる方法
PEGレシオをスクリーニングして、一覧で表示させる方法としては証券会社のスクリーニング機能がおススメです。
【楽天証券】
楽天証券の国内株式のページにある「スーパースクリーナー」を使います。
「詳細検索項目」に「+検索条件を追加」から「PEG(予)(倍)」を選択すると一覧にPRGレシオの値が入った銘柄だけが表示されます。
【SBI証券】
SBI証券の国内株式のページにある「検索スクリーニング」を使います。
「詳細条件」に「+検索条件を追加」から「PEG(予)」を選択すると一覧にPRGレシオの値が入った銘柄だけが表示されます。
※個別銘柄のページには表示されませんが、スクリーニングは可能です。
以上より、楽天証券とSBI証券は(予)が付いており同じデータを活用していますし、件数も同じなので同じ考え方で作成されたデータかと思います。
7. PEGレシオを株式投資で活用すべき3つの条件
PEGレシオについていろいろとご説明をしてきましたが、PEGレシオを投資で活用すると効果が高い銘柄には条件があります。
(1)高PER
(2)高成長率
(3)新高値付近
上記のような条件の場合には、なかなか投資ができないと思います。
仮に好決算が出たとしてもすでに割高だと感じてしまいますが、このPEGレシオが低い場合には割安だと判断して投資をする候補としてしっかりとファンダメンタル分析をするということが大切かと思います。
まとめ
PEGレシオの考え方や調べ方、スクリーニング方法など、PEGレシオとは何か、どのように活用するのかについてご説明をしてきました。
具体的な銘柄をあげて「高PERだが割安」「低PBRだけど割高」という考え方についてもご理解いただけたでしょうか。
割安株は必ず上昇して価値を見出すとは限りません。
割安株が上昇するには何か理由があるはずですので、指標をいくつか組み合わせて検討をしていくことが大切ですよね。
PEGレシオは単体で使うというより、組み合わせで効果を発揮する指標だと思いますので、高PER・新高値の銘柄などを検討する際にはぜひ活用していただければと思います。