証券会社のツールを見ているときなど、普段あまり気にしないのですが「歩み値」が目に入ることがあり、大引けの際に大きな出来高ができていて驚いているような状況ではないでしょうか。
または、普段は日足・週足のチャートを中心に見るけれど、たまたま5分足や15分足のチャートを見ると15時の出来高が大きくて驚かれているかもしれません。
大引けに大量の買いが入って、出来高が急増することは珍しくありません。寄付きの成行が多くて同様に9時に大量買いが入ることもありますよね。とはいえ、翌日の株価に影響しないか心配ですよね。
本記事では大引けの際に大量の買いが入いり、出来高が急増した場合に、翌日の株価がどうなるのか、そしてこの買いはなぜ起こるのかを確認していきたいと思います。
寄付きの出来高が多くなる際の始値の決め方はこちらです。
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目次
1. 大引けの大量買いによる出来高急増は翌日への影響が軽微
大引けに大量の買い注文が入って、出来高が急増になるパターンはそれほど珍しいケースではありません。
たとえば、図のように「歩み値」を見てみると1回の出来高は100株~30000株くらいの約定がありますね。一度に30000株の約定をする時点でこの株はかなり流動性の高い株ですが、「15:00:00」をみると「7,520,700」となっていて大引けの出来高が750万株あったことが分かります。
出来高チャートを見ても15時の出来高が相当大きいことが見て取れます。
大引けの出来高急増
このようなケースは珍しくないということを書きましたが、ここでの買い集め・まとめ売りは決算時に決算情報が事前に漏れたりしていないのであれば、翌日につながっていくような仕込みではありません。
中小型株だと普段の約定は100株~1000株程度だが、大引けだけ30000株の約定があるようなケースもあります。
2. 大引けに出来高が急増する大量買いの5つのケース
大引けに出来高が急増するケースは大きく分けて5つほど考えられます。
大型株に限らず中小型株ででも見られますが、ある程度は機関投資家が入っていたり指数で使われたり、投資信託に組み込まれている銘柄の方が発生しやすいですね。
いずれにしても正しい回答を知ることもできませんし、正らしさを追求しても答えが無いため、あくまで推測の域ではありますが次の5つのようなケースが大引けに大量買いが発生して、出来高が急増することにつながっていくと考えられます。
ポイント
(1)デイトレーダーがその日の購入分を清算(引け成り注文)
(2)日計り信用分の清算
(3)機関投資家の銘柄入り替え
(4)指数構成銘柄の定期入れ替え
(5)ストップ高・ストップ安の比例配分が約定する
2-1. デイトレーダーがその日の購入分を清算
デイトレーダーは購入した株を日またぎすることを嫌う投資家さんがやっているケースが多いので、一日のトレードの中で決算していればいいのですが最後まで決済しなければ、大引けで引け成り注文を使って終値で清算するケースもあります。
あとは、日中は指値を入れておいて場中に指値で約定しない場合には、引けで成行で売却する注文もありますね。
一日の値動きがある銘柄でデイトレーダーの方が触りやすい銘柄の場合には、引け成り注文が一定数入ることで大引けの出来高が急増する一つの要因になりますね。
2-2. 日計り信用分の清算
返済期限が当日のデイトレード専用の信用取引の方法があります。
日計り信用の手数料が楽天証券やSBI証券などネット系の証券会社で非常に安いことや、デイトレーダーが自己資金の約3.3倍の取引ができて自動的に日またぎができない分、リスクが少ないので活用をしているケースも多いですね。
この日計り信用を活用してトレードをしている場合は、2-1.と同様に大引けまで保有していると自動で清算されますので、大引けの出来高が急増する一つの要因になりますね。
2-3. 機関投資家の銘柄入り替え
機関投資家が入っているような大型株や中型株の場合、場中に機関投資家が銘柄を購入したり入れ替えたりすることもありますが、値動きを見て引けに注文を出すケースも多いですね。
機関投資家にも種類がたくさんありますし運用の方針によっても異なりますが、年金等の運用や株価の上昇で利益を得るために単純に個別株を購入している場合もあれば、投資信託の構成銘柄として購入していたり様々ですね。
ある程度同額で購入し相場を途中で崩さないようにしているという意味でいけば、引けで購入をしてくることも多くありますので、こちらも大引けで出来高が急増する要因の一つになりますね。
2-4. 指数構成銘柄の定期入れ替え
日経225、TOPIX、JPX日経400などに代表される指数がいくつかありますね。
これらの指数に採用されている銘柄は一定数の買いが入りますし、もし入れ替えがあれば本当に大量の売買が発生しますね。
最近は日経平均等の動きに合わせたインデックス型の取引が多くなっており、日経225やTOPIX構成銘柄の場合には、様々なケースで購入されることになります。
こういった指数構成銘柄は、2-3にも関わりますが投資信託を始めとして本当にいろいろなとケースで購入され、場中できなくまとめて引けで注文を入れてくることも多いですので、大引けに出来高が急増する要因の一つになりますね。
この指数の入れ替えまたは入れ替えに伴うインデックスを合わせに行く約定が一番の原因ではないかと言われています。投資法にもよりますがインデックスを意識している場合には、こういった引けの出来高急増も押さえておくといいですね。
日経225の銘柄入れ替えについてはこちらを参考にしてください。
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日経225の銘柄の入れ替えはいつ?基準や影響と過去実績【まとめ】
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2-5. ストップ高・ストップ安の比例配分が約定する
ストップ高やストップ安となった場合、場中に約定せずその日の相場が終わることもあります。これはいずれにしても買いまたは売りのニースが非常に強い場合ですね。
この場合には、その日の約定分は大引けのみですので大引けに大量の約定が発生して、出来高が急増したような終わり方をしますね。
3. 引けにかけて大量買いが何度もある場合は買い集め
チャートが陰線であっても陽線であっても、後場の終わりにかけて大量の買いが何度も入って、5分チャートで見ると出来高を伴って上昇をしているケースがあります。
銘柄の需給にもよりますが、1日の出来高が10万株~50万株くらいの銘柄の場合には、100株~2000株程度の売買が繰り返されて変動している場合は通常の相場ですね。
しかし、時折10000株の約定があって、数分後にまた10000株の約定があるような購入して株価が少し上がり、下がったところでまた購入するなどの動きがあると買い集めをしている可能性がありますね。
こういった銘柄は機関投資家がある程度の金額で買い集めるように調整しながら売買をしているため、途中でわざと値を下げたりしながらお得な価格帯で買い集めがされるように調整をしていますね。
そして引けにかけて購入して、翌日の値上がり欲を掻き立てているケースもありますね。
4. 大引けの出来高急増だけなら翌日はPTSの方が影響大
大引けに出来高が急増するような大量買いが入っていたとしても、この結果が翌日の株価に与える影響は軽微です。
それよりも日経先物やアメリカの指数の結果などを受けた相場全体の流れの影響の方が強く受けることになります。
また、PTSで個別株の売買が合った場合には、大引けの出来高よりもPTSの売買結果の方が翌日に与える影響度はひじ用に高くなります。
PTSについて詳しいことはこちらの記事を参考にしてください。
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PTSの株価の値上がり率ランキングの調べ方と3つの活用方法
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さいごに
大引けで出来高が急増するケースはそれほど珍しくありません。
急増をどの程度の大量買いのことを言うのかにもよりますが、歩み値をみると多くの銘柄で目にすることになります。
この大引けに出来高が急増する理由は明確には分かりませんが、今回あげた5つのケースの組み合わせが多いのではないかと思います。
また、大引けに大量買いがあったとしても翌日の株価に与える影響は軽微で、PTSやアメリカの指数、日経先物などの影響の方が明らかに大きくなりますので、この大引けの出来高急増は違和感があるかもしれませんが、追求せず無視してよいかと思います。