計算することになりますが「オニールの成長株発掘法を読んで」または「CANSLIMを知って」、もう少しCANSLIM「L」について詳しく知りたいと思われていると思います。
株式投資をしていると必ず出てくるのが「ウィリアム・オニール」ですね。
オニールの投資法である「CANSLIM」の
「L=Leader or Laggard (主導株か、停滞株か)
~あなたの株は?~」
について、私なりに理解した内容をまとめるとともに、どのように投資へ活用しているのかについて触れていきたいと思います。
CANSLIM全体については、本サイト内のこちらの記事でまとめています。
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CANSLIMを理解する3つの核心ポイントとスクリーニング法
参考
こちらの本を読んでポイントをまとめたものです。
まだ読んでいない方はぜひ一読されることをおススメします。
「オニールの成長株発掘法」
⇒ CANSLIMは「最も一貫した最高の成績を上げた手法の一つ」
目次
1. CANSLIMの「L」とは:主導銘柄か停滞銘柄かの判断が必要!
CANSLIMの「L」は、購入する銘柄が主導銘柄なのか停滞銘柄なのかを見分けて、主導銘柄にだけ投資をしていくという内容ですね。
主導銘柄は強気相場でどこまでも値を上げていくような銘柄のことですね。
停滞銘柄は動きが鈍くて値を上げていかないような銘柄のことですね。
多くの投資家は、保有していることで満足感を得たり、何らかの安心感を与えてくれる銘柄を買う傾向にあります。
しかし、単純に気に入っている株を購入する、ファンダメンタル分析をして条件に該当していないが購入するなど、購入する銘柄に勝手な思いを寄せていると上昇する銘柄を掴むことができません。
市場を牽引するような主導銘柄を選定し、市場につられて上昇している銘柄や停滞する可能性の高い銘柄を避ける必要があります。
2. 主導銘柄を選ぶ理由と選定ポイント
業界の上位1~3銘柄は、残りの企業がまったく振るわないときでも、信じせられないような成長を見せることがあります。
業界を牽引してその専門分野でトップを走るような銘柄は主導銘柄となり、大きな株価の上昇が期待できるためそのような銘柄を探す必要があります。
2-1. 主導銘柄は業界の上位2~3銘柄だけ注目する理由
業界内で上位1~3位は単純に強気相場では大きく上昇した実績があるということですが、これは割安な銘柄を購入したり、同じように上昇をはじめた銘柄と比較すると継続性が異なります。
大切なことは市場につられて上昇をするような銘柄を見つけるのではなく、自らが上昇を牽引し信じられないような株価の成長を見せる銘柄を早い段階でつかんでおくことですね。
ポイント
株式市場では前代未聞の出来事などはまず起こらず、歴史はただ繰り返されているので、主導銘柄を掴むという考え方を意識することが大切ですね。
2-2. 主導銘柄候補となる上位銘柄を選定する7つのポイント
業界内の上位銘柄とは「規模が大きい、誰もが知っているブランドではない」という点がポイントになります。
大企業という意味ではなく、成長している上位銘柄という視点で考えていきます。
主導銘柄になる上位銘柄の条件は、実はCANSLIMをCから順に勉強した方には復習となる内容でありC・A・N・Sまでの要素をしっかり加味して判断するということになります。
主導銘柄になる上位銘柄の見極め方
上位企業の見極めポイント | CANSLIMの関係性 | |
1 | 過去最高の四半期EPSの増加率 | CANSLIMの「C」 |
2 | 年間EPSの増加 | CANSLIMの「A」 |
3 | ROEが最大 | CANSLIMの「A」 |
4 | 利益率、売上増加率もずば抜けている | CANSLIMの「A」 |
5 | 独自性のある優れた製品やサービスを生み出している | CANSLIMの「N」 |
6 | 革新的になれない古株企業からシェアを奪っている | CANSLIMの「N」 |
7 | 株価の動きも活発 | CANSLIMの「S」 |
3. 停滞銘柄(共振株)を避けるたった1つの理由
オニールの投資法は細かく利益を上げることが狙いではありませんので、自らの業績や機関投資家等からの需要を得て大幅に上昇をしていくような主導銘柄を見つけることがポイントとなります。
「主導銘柄のように利益を上げられない」「主導銘柄につられて上昇しただけ」というような共振株は購入すべきではないという考え方ですね。
そもそも、共振株とは「主導銘柄が値を上げているときに同じ業界内で主導銘柄に合わせて一緒に上昇する銘柄」のことです。
共振株とは、主導銘柄のおこぼれをもらうために買われる同じ業界内の別の銘柄のことである。だがそのような企業の利益は、主導銘柄のそれと比較するとたいてい見劣りする。株価は主導銘柄に「共振」して上昇しようとするが、主導銘柄ほどの成功を収めることは決してない。
オニールの成長株発掘法より
以上を加味して、停滞銘柄(共振株)を買わないたった一つの理由はこちらです。
ポイント
CANSLIMで今まで学んできた考え方(C・A・N・S)を加味すると、圧倒的に良い銘柄を探しているわけなので、共振株のように一瞬利益が取れそうに感じる銘柄はすでに条件に該当していないからです。
少し視点を変えると、カーネギーが言ったこの言葉通りでもありますね。
「先頭をいくものがカキの実を手に入れ、二番手はカキの殻を手にする」
4. 主導銘柄と停滞銘柄はRS(レラティブストレングス)で見極める
投資家としては近い将来に大幅な上昇をする主導銘柄を購入し、上昇の見込みの無い停滞銘柄や共振銘柄を購入している場合には売却することが大切になります。
言い換えると「業績が最低の銘柄をまず先に売り」「業績が最高の銘柄をより長く保有し続ける」ことが大切になりますね。
しかし、投資家の多くは上記の逆の行動をとってしまう方が大半です。
負けている株を長く持ち、買っている株をさっさと売ってしまいますね。
とはいえ、主導銘柄と停滞銘柄(特に共振株)を見極めることはとても難しいですね。
主導銘柄を選定して、停滞銘柄を避ける方法して「レラティブストレングス」という考え方がありますので、こちらを活用していきましょう。
4-1. RS(レラティブストレングス)とは
レラティブストレングスは、オニールが考えた「独自の手法」となっています。
具体的には、投資しようとしている銘柄が市場全体の中で値動きがどのくらい強いかを確認する指標となります。
値動きを確認する時間軸は過去52週(約1年)となります。
ある特定の銘柄の値動きを市場の残りの銘柄の値動きと過去52週にわたり比較するものだ。
そしてその評価として各銘柄に1~99の数値が割り当てられる(99が最高)。
オニールの成長株発掘法より
ポイント
レラティブストレングス指数が
・99の場合はその銘柄の値動きが市場全体の99%の銘柄より上回ったことになる
・50の場合はその銘柄の値動きが市場全体の半分の銘柄より良い動きをして、残りの半分が悪い動きであったことを意味する
日本株で考えると約3900銘柄ありますので、1~99までの99の数値に振り分けるとだいたい1指数に対して約39銘柄になります。
つまり、レラティブストレングスが90以上の銘柄は約350銘柄(約39銘柄✕9指数)になります。
もし、ご自身が保有する銘柄のレラティブストレングスが70だとすると、その銘柄より値動きが良い銘柄が約1130銘柄(約39銘柄✕29指数)あることになります。
レラティブストレングスが70の銘柄が上昇しないわけではありませんが、現時点では市場を牽引しているとは言えない状況ですね。
レラティブストレングスについては、本サイト内のこちらの記事でまとめています。
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レラティブストレングスの考え方と日本株での活用方法【保存版】
4-2. RS(レラティブストレングス)の活用法
過去に大きく株価が上昇した銘柄のレラティブストレングス指数を調べてみると「平均が87」だったとされています。
大化け銘柄がいよいよ最大の上昇を始めていく場合には、過去1年間の値動きが市場の残りの9割の銘柄よりもすでに上回っている事実があるということです。
ポイント
信の主導銘柄を購入して、停滞銘柄である低迷株や共振株の購入をさけるために、レラティブストレングス指数が40~60台の銘柄は買ってはいけない。ということです。
また、レラティブストレングス指数が7ヶ月以上下落していたり、4ヶ月以上にわたり異常なほど下落をしている場合には、その値動きに問題があると判断して、その銘柄は売却の検討をした方がいいです。
日本版のレラティブストレングスはありませんので、ご自身で数値を計算することになりますがスクリーニングするための計算方法等については、本サイト内のこちらの記事でまとめています。
続きを見る
レラティブストレングスでスクリーニングするための計算法【実践編】
4-3. RS(レラティブストレングス)での主導銘柄の見極め方
運用会社などを含む多くの投資家は低迷株を好んで購入するとされていますが、そのような銘柄を買っても何の利益も生まれない。とオニールは説明していて、オニールはレラティブストレングス指数が80以上の企業だけを買っているとのことです。
実際に大きな利益をもたらすような銘柄は、株価が1回目や2回目のベース(BOX)から上にブレイクしていて、そのタイミングでレラティブストレングス指数は必然的に90以上に上がっていることになります。
以上を加味して、主導銘柄を選定するための見極め方としては次のようなポイントを押さえておくことが大切です。
ポイント
株を買うタイミングとして次の4つを確認します
・直近でベースからブレイクした実績がある
・ブレイク時にレラティブストレングス指数が80を超えている
・正しく形成されたベースやもみ合いからブレイクアウトしている
・正しい価格で購入できるタイミングである
「正しい価格での購入」については、最初の買いポイントから5~10%上昇してしまった銘柄は避ける必要があります。これはCANSLIMの「N」の絶好の買い場でも説明されています。
以上のことを順守すれば、株価が急上昇してしまった株を後追いすることもなくなりますし、突然の市場の急落が起きてもふるい落とされる可能性が低くなりますね。
5. 市場環境に応じた主導銘柄の発掘方法
市場全体が伸びている時は良い銘柄が見つけやすいですが、良い銘柄に限って上昇してしまっていてなかなか購入できないため株の選定は本当に難しいものです。
ただ、上昇相場はRS(レラティブストレングス)を活用することで、投資の候補を見つけることができます。
一方で、相場全体が弱気相場や調整局面、今日がたまたま弱気相場だった場合などに、主導銘柄を探す方法についてご紹介していきます。
5-1. 調整局面で新たな主導銘柄を探す方法
市場全体が調整局面を迎えたり下落を始めると全体ムードとしてはマイナスではありますが、新しい主導銘柄を見つけるチャンスが訪れます。
調整局面で発生する下落についての考え方をまとめます。
調整局面では、主導銘柄は市場平均より大きな下落が起こります。
ポイント
魅力的な成長株は、市場平均株価の1.5~2.5倍の調整が入る
つまり、市場全体が10%下落したら、優秀な成長株は15~25%の下落が目安
その際の注意点としては2つあります。
注意ポイント
・この下落が上昇トレンド中に起こった一時的な調整の場合には最も下落が少なかった成長株が最高の選択と考える
・市場全体の下落が10%なのに35~40%も下落してしまった銘柄がある場合、売りの警告を出していると考えた方が良いので保有していたら売却する
結果的には、市場全体の下落が最終局面を迎えた後に、最初に新高値をつけるまでに回復した銘柄が正真正銘の先導銘柄になります。
このような株価のブレイクアウトは約13週にわたって続くものだとされています。
5-2. 弱気相場の日に異常な強さを示す銘柄を探す方法
市場全体が弱含んでいる日に異常なほどの強さをしめしている銘柄は主導銘柄になります。
相場全体が下落した日に数銘柄だけ異常な上昇をしている場合には主導銘柄である可能性が高くなりますのでチェックをします。
一方で、相場全体が下落し興味をそそるほどの安値に見える停滞銘柄を見つけたときも、その銘柄は利益を生み出すことはありませんので避けるべきです。
下落の日こそ、マーケットを牽引する主導銘柄を見つけやすく、そういった銘柄を調べて買い銘柄として選択できるチャンスになります。
ただし、保有している銘柄が買値から8%下落した場合には、損失を出している停滞株とみなして、大きな痛手を被る前に損切りが大切です。
さいごに
CANSLIMの「L」について自分なりに学んだことをアウトプットしてみましたが、「オニールの成長株発掘法」を読まれた際に感じたことは同じでしたでしょうか。
主導株を選び、停滞株や共振株を購入しないという考え方を学びましたね。
レラティブストレングスを活用しながら、主導株になるための条件をクリアしている銘柄をしっかりと選定していきましょう。
さいごに、株式市場で成功するためには過去に失敗した手法をきっぱりと捨て、継続して使えるような、より優れた信ルールや手法を考案しないといけないとされています。これらを学んで成功したスタイルを身に着けていきたいですね。