03.ファンダメンタル編

サプライズ決算を見極めて株価影響のある銘柄を探す3つのポイント

予想は。決算発表のあとに大きく株価が上昇した銘柄の情報を見ると「サプライズ決算」という言葉が出てくることが多く、「サプライズ決算って何?」と思って調べられているのではないでしょうか。

 

自分が保有してる銘柄は、決算発表をみると前年より業績が良かったのに株価が上昇しなかったり逆に下落するなど、「上昇する銘柄と何が違うんだろうか」と悩んでしまいますよね。

 

本記事では、サプライズ決算を見極めて株価に影響のある銘柄を見つけ方を3つのポイントでご説明していきます。

 

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1. サプライズ決算と好決算の違いから株価上昇を見極める

投資の勉強をしていると「決算シーズンをどう過ごすのか」という話題は尽きることがないですね。

これは、決算発表とともに大きく株価が変動し、ストップ高になるような銘柄も決算シーズンではよく見かけるからですね。

 

一方で、決算発表で好決算を発表したのに株価が上昇しなかったり、逆に下落してしまい理由が分からずにアタマを悩ませることも多いと思います。

 

つまり、押さえておくべきは「サプライズ決算と好決算」は違うということです。

 

注意ポイント

・「サプライズ決算」と「好決算」は違う。

・違いが分かれば「サプライズ決算の恩恵を受けられる」

 

株価に影響を与えるようなサプライズ決算の銘柄を掴むためには次の3つのポイントを押さえておくと良いでしょう。

ポイント

①サプライズ決算とは市場予測との乖離

②好決算銘柄は上振れ余地を発表前に予測

③サプライズ決算が起きやすいのは1Qと本決算

 

 

2. ①サプライズ決算とは市場予測との乖離

昨年の業績と比較して売上高成長率や営業利益成長率などが高い銘柄を購入してその通りの予想の四半期決算や本決算が発表されると思っている投資家の方も多いようですが、それは調べればすぐに誰でもわかることなので「サプライズ」とは言えないですよね。

 

こちらの図を見てみましょう。青が会社発表・オレンジが市場予測とします。

緑矢印は株価のイメージとなります。

注意ポイント

・「市場予想」は証券会社やアナリストなどの予想

・「コンセンサス」は複数のアナリストなどの予想の平均化したもの

 

上側の会社は成長率が高いですが成長は周知の内容であり、下側の会社は成長率が上側の会社と比較して低いですが、予想と乖離したタイミングでは株価が上昇していきます。

 

【上側の銘柄】

会社発表も市場予測も30%成長だと公表していて、調べれば誰でも30%成長する会社だとわかります。そして決算でも想定通りでサプライズが発生していません。株価は一般的に横這いまたは期待値が上がらず下落傾向になりますね。

でも、この銘柄は40%に成長する発表があればサプライズですね。

 

【下側の銘柄】

会社発表も市場予測も最初は5%成長だと公表していましたが、1Qの決算発表では市場予測は5%に対して会社発表が15%だった場合には大きなサプライズになります。

一方で、2Qの発表時には市場予測も15%に変化し、会社発表も15%だった場合には、想定通りと思う投資家と1Qのようにサプライズを期待していた投資家からは失望売りが出て下落する可能性があります。

 

2-1. ポジティブサプライズを探す

ポジティブサプライズ・ネガティブサプライズという言葉をよく耳にすると思いますが、このポジティブサプライズが大切ですね。

 

「この銘柄は営業利益率30%成長」という会社予想や市場予想が出ている場合には、決算発表で「今期は予定どおり営業利益率30%成長」と発表しても誰も驚かないし、今の株価より高い金額で買いたいと思わないですよね。

 

この銘柄が「今期は営業利益率25%成長」と目標を下げた場合、営業利益25%成長する企業は上場企業の中でもそれほど多くなく「好決算銘柄」ですが、30%を見込んでいた投資家からすると失望感が生まれます。これはネガティブサプライズとなります。

 

ポジティブサプライズは、事前に市場が予想していた業績以上の内容が発表それた場合のことをいいます。

 

特に上方修正を発表すると勢いがつきますね。

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2-2. 四季報予想・コンセンサス予想との乖離を探す

四季報が発売されると東洋経済社が各企業の今期の業績予想をした結果が掲載されます。また、証券会社や株の上方サイトが発表している銘柄ごとのページにコンセンサス予想が記載されています。

 

この四季報予想とコンセンサス予想との乖離をしっかりと確認することで、サプライズ決算と出会うことができるようになります。

 

①四季報予想との乖離の確認方法

 

四季報が発売されると会社予想のほかに東洋経済が予測する四季報予想が出てきます。会社予想と同じ場合、会社予想が強気の場合、四季報予想が強気の場合などがあります。

 

四季報は担当者が企業にヒアリングして作っていますので、ここで発表された四季報予想よりも強気の決算発表が出た場合には四季報を見ている多くの投資家の市場予想から乖離したことの1つになり、サプライズ決算の1つになります。

 

また少し別の見方をすると、四季報が発売されてすぐに四季報の予想が高い場合にはこれもポジティブサプライズになるためサプライズで株価が上がることがあります。

 

 

②コンセンサス予想との乖離の確認方法

 

コンセンサス予想については、各証券会社が出しているツールや証券会社のホームページなどで個別銘柄のページにアクセスすると「業績」というタブに書かれていることが多いですね。

楽天証券やSBI証券などの大手ネット証券では「業績」タブに書かれています。

 

決算後に株価が動いた場合、理由としてコンセンサス予想と比較して〇%上振れや〇%下振れなどの説明がされていることが多いですね。

「市場予想=アナリストやコンセンサス予想」と考えるとこちらの数字との乖離を確認することがサプライズ決算に一番つながっていきますね。

 

 

3. ②好決算銘柄は上振れ余地を発表前に予測

2章でご紹介した市場予測との乖離の確認は決算発表後となりますので、実際にはすべての投資家が平等に知る権利のある状況になります。

翌日、すでに寄付きから株価が上昇する可能性が高く、実際にご自身では株を購入できないという状況になる可能性もあります。

 

好決算の発表を待つのではなく、その企業が発表している決算短信や決算説明資料などをもとにIRにヒアリングをするなどして、事前に乖離を予想しておくことが大切ですね。

 

実際には「コンセンサス予想・会社予想とも営業利益増加率は30%」であった場合は「市場予想は30%」となります。ご自身の予想も「30%」の場合には、サプライズ決算にならないためその銘柄の決算マタギはしない選択肢になります。

 

もし新規案件の獲得や受注残の増加、月次業績の積み上げ、工場の稼働開始、特需など業績があがる理由が見つかれば、どの事業でどのくらいの業績アップが狙えるか予想します。その結果、全体でコンセンサス予想を超えたり、上方修正の可能性があったりする場合には、決算前から購入しておけばサプライズ決算による上昇を取ることができますね。

 

4. ③サプライズが起きやすいのは1Qと本決算

サプライズ決算が起きやすいのは1Qと本決算になります。

 

前期本決算の際に今期予想として営業利益率5%成長だと考えていたら、最初の四半期の業績が良く今期営業利益成長10%に到達しそうだと判断した場合に1Qで上方修正が出たり、今期の業績進捗率の高い決算発表がされたりします。

 

3月決算企業の場合は4-6月が第1四半期となり、前期決算結果と今期決算予想が5月に出ます。よって、今期決算予測は第1四半期の状況が少し見えた状況で発表していることや、今期のこのあとの業績が不透明なのでポジティブサプライズの発表をするケースは珍しいです。

そんな中で上方修正等が発表されればかなりのサプライズ決算になりますね。

 

また、前期本決算の際には上記にも書きましたが今期決算予測が発表されます。1年間は今期決算予想を基準に投資がされていきますが、この数字はなかなか予想ができないため、3月決算企業でいう5月の本決算発表時の今期決算は前年と比較して急成長する可能性などが見えるとサプライズ決算となります。

 

以上から、上方修正が発表されづらい1Qと、予測がしづらい本決算のタイミングはサプライズ決算が生じやすくなります。

 

5.サプライズ決算銘柄の調べ方

サプライズ決算銘柄は専業投資家の方も探しています。

決算発表日にすべて企業の決算発表資料として決算短信や有価証券報告書に目を通す投資家も多いので、決算発表シーズンにはTwitterなどで投資家さんの睡眠不足投稿をよく見かけます。

 

兼業投資家の場合には時間が限られますので、こちらの3つの調べ方を使ってサプライズ決算を探してみると効果的です。

 

5-1. 株探の本日のサプライズ決算ページから探す

株探の市場ニースに決算発表があると「本日の【サプライズ決算】速報(〇月〇日)」というタイトルが掲載されます。

 

このサプライズ決算速報のページを確認して、リンクをうまく駆使して企業が発表した決算短信等にアクセスして内容をチェックしていきます。

市場予想との乖離、つまりコンセンサスとの乖離をこちらのページに掲載された銘柄に対して丁寧におこなうとサプライズ決算を見つけることができます。

 

 

5-2. 適時開示から「上方修正」探す

適時開示を検索するできるサイトやツールが増えていますが、本日の決算の中で上方修正をした銘柄を適時開示の検索から探します。

 

こちらを見つけてコンセンサス予想と比較し、市場予想との乖離をチェックすることでサプライズ決算を見つけることができます。

 

ただし、適時開示に「上方修正」と書かれるケースは少なく、業績予想が変わったときは「業績予想の修正」などとどちらか分からない表現もあります。

「業績%予想」(%は何らかの文字が入るという記号)などで検索をかけて、表示された銘柄だけを確認していくのもサプライズ決算を見つける効率化になります。

 

 

5-3. 出来高急増・株価上昇率から探す

この方法は決算当日ではなく、決算の翌日の相場が終わった後になりますが、出来高急増や株価上昇率の上位の銘柄は何らかの理由を持っているためその理由を確認しに行きます。

 

決算発表シーズンの場合には、特に翌日に反応して出来高が急増したり、株価上昇率が高い銘柄はサプライズ決算が発表されているケースが多いのでサプライズ決算を掴むチャンスがあります。

 

この場合には、サプライズ決算を発表した銘柄をゆっくり確認して、その銘柄のチャートがひと段落してから買いで入るようなケースで活用できます。

 

さいごに

サプライズ決算と好決算の違いから、サプライズ決算の定義もお分かりいただけたでしょうか。

 

株価が反応するのは投資家が今の株価以上の価格になってもその銘柄を購入したくなる理由が必要です。

現時点で営業利益率30%が達成できる見込みで株価が安定しているとすれば、それは投資家にとってその価格が最適だと判断された後になります。つまりそれ以上の成長が無ければ、これ以上高い価格での売買はツラいということを表しています。

 

好決算企業が必ずしも株価が上がっていくわけではないため、サプライズ決算の企業を見つけていきましょう。

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