現物取引をしていても信用取引をしていても「信用買い残に注目した方がいい」という話を聞いて確認してみると「信用買い残が多くて減らない銘柄を買っていることに気づく」など、信用買い残が多くて減らない銘柄が示している意味を知りたいと思っているのではないでしょうか。
信用買い残が多いということは、信用取引を使って倍率を掛けて株を購入しているということですね。
また、制度信用であれば日々手数料を高く支払って最大6ヶ月の保有期限付きで持っていることになりますね。
この状況で、信用買い残が減らない銘柄の今後について考え方をご紹介していきます。
目次
1. 信用買い残が多くて減らない銘柄は需給が悪い
信用買い残が多くて減らない銘柄というのは、その銘柄を誰かがずっと信用買いをしているということですね。
実際には信用買いをしている投資家さんは入れ替わっているかもしれないですが、信用買い残が減らないということは同じ量の株を誰かが信用買いしているので将来に与える影響は同じですね。
なぜ信用買い残が多くて減らない銘柄は需給が悪くなるのかについて、具体的に確認しておきましょう。
上記のチャートを使ってご説明しています。
少し長くなりますが、1文ずつ確認しながら進めていただければと思います。
①の2021年2月上旬の下落で信用買い残が増えていますので、信用買いをした個人投資家が増えます。
そのあとも下落が続き、購入価格以上へ上昇しないことから多くの信用買い残を持つ投資家は売却をしません。
信用買い残が減らないまま時間が過ぎ、売られすぎ感もあり②で少し上昇がはじまります。
しかし、①の信用買い残を持つ投資家の一部が損失を確定させるために売却します。
①のあと信用買い残が減らなかったことが売り圧力となり株価が上昇しません。
一方で、ここでも信用買い残が減っていないので割安として購入した投資家がいますね。
その後、③で再び少し上昇をしますが①で信用買い残となっている投資家の6ヶ月期限である8月上旬が目前になります。
②で売却していない投資家は期限目前ため6月下旬のこの上昇で売らないと不安なため③で売却を始めます。
ここでも①のあと信用買い残が減っていないことが売り圧力となり、株価が売りに押されて上昇しません。
最後に、③でもっと上昇すると思っていた信用買い残を持つ①で信用買いをした投資家は、③で上昇しなかったことに落胆して最後は期日前に売却するしかなくなり、下落が加速します。
以上から、信用買い残が多く減らない銘柄は、需給が悪く上昇しない銘柄の代表的なものになりますね。
2. 信用買い残が多くて減らない場合の取り扱い
信用買い残が多くて減らない場合は、個人投資家が多くの株を保有していることになりますが、
「下落の局面で割安だと思って信用買いするケース」
「損失を薄めようと信用取引を使ってナンピン買いをするケース」
などがよく見られるケースです。
つまり、信用買い残が多い場合にはポジティブ要素で購入している投資家より、逆張りやネガティブ要素で購入している投資家の方が多いということになりますね。
信用買い残が多くて減らない場合の取り扱いについて確認していきましょう。
そのまえに、念のため信用買い残について、ポイントを復習しておきましょう。
ポイント
・信用買い残は「将来の売り圧力」
・信用買いは6ヶ月以内に売却が必要(制度信用の場合)
・信用買いは個人投資家がほとんど
2-1. 信用買い残が多いという基準の考え方
「信用買い残が多い」というのはどの程度のことを表すのでしょうか。
「多い」という言葉は櫃によって違うので、なかなか判断が難しいですよね。
実は、信用買い残が多いというのは投資する方法や投資家さんの考え方によっても変わってきますね。
ポイント
新高値ブレイクなどテクノファンダ系の投資法など、ある程度勢いよく上昇していく銘柄に投資する投資法の場合には、「信用買い残が多い=1日の出来高の5倍以上(5日かけて売却できない量)」という視点が良いかと思います。
2-2. 信用買い残が多くて減らない銘柄の上昇相場での取り扱い
信用買い残が多くて減らない場合でも、6ヶ月以内に大きな下落が無い場合には信用買いをしている投資家にとって大きなマイナスはありませんので投げ売りのような売り圧力は起こりづらくなります。
信用買い残が多くて減らない銘柄で、チャートが長期にダラダラと横ばいの場合には、直近の高値ブレイクが起こるなど上昇に転じた時点でさらに信用買い残が増えるケースがあります。このように、信用買い残が多くても売り圧力が小さくなるようなチャートの場合には、上昇相場でさらに信用買い残が増えても株価が上昇していきます。
このタイミングでは、信用売り残が増えるともっと良いですね。こちらの図のように長期のボックスの上限で戻ると予測している投資家や、ボックスを抜けても再び下落をすると想像している投資家は信用売りをしてきます。
上昇相場で信用売り残が増えて、将来の買い圧力が増えていくのはこの銘柄にとって大きなプラスにもなりますので、こういう銘柄は信用買い残が増えていっても購入してよいということになりますね。
2-3. 信用買い残が多くて減らない銘柄の下落相場での取り扱い
信用買い残が多くて減らない場合で、6ヶ月以内に大きな下落があった場合には信用買いをしている投資家にとって大きなマイナスになります。これは6ヶ月経過しても株価が上がらない場合には投げ売りのような売り圧力が起こります。
上昇している時に購入した場合、こちらのチャートのように大幅な下落が起こると含み損を抱える投資家が増えます。
このときに下がったところで割安だと思って購入したのにさらに下落してしまいどうしようもなくなる場合です。最初の下落のところで信用買い残が増えており、6ヶ月が経過するタイミングではさらに信用買い残が増えていますが、大きな売り圧力が発生して上昇どころかさらに下落をしています。
このように下落相場で信用買い残が多くなり減らない銘柄は絶対に購入してはいけないということになりますね。
3.信用買い残の多さは「将来上がると思ってる人が多い」わけではない
信用買いが多いと「将来株価が上がると思って買っている投資家が多い」という捉え方をする方がいますが、期限付きかつ手数料が発生する信用取引で長期投資をするケースはさほど多くはありません。
ネガティブ要素や逆張り要素で購入している投資家が多いということだけ確認しておきましょう。
信用買いが多くて減らない場合には「下落して損失が膨れてしまったけど売るに売れない」「チャートが横ばいで上昇期待はあるけど待ち」というようなケースが多くなります。
さいごに
信用買い残が多くて減らない銘柄は、直近6ヶ月のチャートのチェックは必須ですね。
売却できなくて持ち続けている投資家がこのあと「信用期限が訪れて売却の必要性がある」という状況であれば株価が上昇をはじめても売り圧力で上昇を抑えられてしまう可能性も高いです。つまり、6ヶ月以内に大きな下落があって信用買い残が多くて減らない銘柄は、保有してしまうとなかなか株価の上昇がなくアタマを悩ませることになります。
6ヶ月間の間に徐々に株価が上昇している銘柄や横ばいからブレイクした銘柄は、信用買い残が多くて減らない状況でもさらに信用買い残が増えながら上昇していくタイミングに出会えて収益化できるかと思います。ただ、信用買い残が増えて上昇していく場合には将来の売り圧力が大きくなっていますので、急な下落相場に切り替わるタイミングを見極めておく必要があります。
以上のとおり、信用買い残が多くて減らない銘柄の取り扱い方法についてご紹介しました。