03.ファンダメンタル編

四季報の基本情報欄の見方は?初めて投資する会社はどんな会社か確認

「四季報ではすべての企業に対して会社情報欄があるけど、何をチェックしたらいいの?」と思って検索をされているかと思います。

 

会社四季報を読むときに意外と読み飛ばしてしまいそうで、とても大切なのが「会社情報」欄です。

この会社情報は、こちらの図の①②と考えて本記事を読んでいただければと思います。

①業種

②社名・事業内容・本社住所・仕入先・販売先等

 

四季報の12のブロック

(出典:四季報より)

 

1. 会社情報は2つのブロック・21の情報で構成されている

会社情報は21の情報で構成されています。

小さい文字でたくさん書かれているので気が付かないものもあるかと思いますが、意外にも重要な基本情報が満載です。

 

今まで見ていなかったけど、急に見てみたくなる項目もあります。

投資先に選ぶかどうか創造を膨らませましょう。

 

会社情報の21項目のサマリー

項目主な内容確認ポイント
1証券コードお決まりの4桁(特になし)
2会社名四季報が決めた略式の社名(特になし)
3決算月今期の本決算が月昨年までと異なる場合あるので確認
4設立年月会社を設立した年月創立から何年の企業なのか
5上場年月上場をした年月上場から何年経過したか
6特色会社の特徴を簡潔に表現50文字以内でまとめられた特徴を確認
7事業構成事業構成と売上割合事業ごとの売上割合を確認
8海外比率売上の海外比率海外での売上比率を確認
9本社住所本社の住所優秀な人材が集まりやすいか
10本社電話番号本社の電話番号(特になし)
11従業員数連結・単独の従業員数人件費コストに直結
12平均年齢社員の平均年齢新しいことにチャレンジできるか
13平均年収社員の平均年収優秀な人材が集まる人事制度か
14上場市場上場している証券取引所日本以外にも上場しているか
15証券会社幹事証券会社(特になし)
16株主名簿管理人株主名簿の管理の委託先(特になし)
17監査法人監査をしている監査法人4大監査法人に委託しているか
18銀行取引のある銀行メインバンクはどこか
19仕入先主な仕入れ先主な仕入れ先をチェック
20販売先主な販売先主な販売先をチェック
21業種指定された業種業種分類をチェック

 

2. 会社情報をの21項目の各項目を確認

四季報の会社情報欄に書かれている21項目について、それぞれの記載内容の詳細と確認ポイントを細かく説明していきます。

 

意外と見落としているけど重要な項目があると思いますので、全項目の確認がおススメです。

 

この項目の中に、特に中小型株であればビックチェンジの可能性や優秀な人材がいるかどうかの見極めなどをするヒントも隠されています。

オニールのCAN-SLIMの「N」に該当する部分ですね。

CANSLIMの「N」だけに注目!【オニール流】投資への活用術

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2-1. 会社情報①「証券コード」

上場をするタイミングで決まる「企業を識別する4桁の番号」です。

証券コード協議会が決めています。

 

証券コードは業種によって番号帯がありましたが、最近は関係なく振られているようですね。

「証券コード」「銘柄コード」など呼び方が複数あります。

 

2-2. 会社情報②「会社名」

会社名は正式名称ではなく、短縮された四季報編集部が決めた略語になっていますね。

 

たとえば、東証の中で長い会社名の一つにこちらの銘柄があります。

「株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(31文字)」

これを略して、

「パンパシI」

と表現します。

 

その他、「ホールディングス」を「HLD」とするなど、工夫されています。

 

2-3. 会社情報③「決算月」

決算月というと毎年同じようで異なるケースもあります。

こちらは「今期の決算月」となります。

決算日が月末の場合には省略されて「〇月」、月末ではない場合には「〇月〇日」と記載されます。

 

基本的に決算月が変わることはありませんが、近年は12月決算銘柄が増えたり、10月決算から3月決算へ変更など月変更の変則決算をすることで上場企業の多数と合わせている銘柄が出てきています。

 

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決算日はいつが多い?決算日と決算月を多い順に集計【一覧表あり】

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2-4. 会社情報④「設立年月」

会社の設立年月が記載されています。

 

創業から長く老舗企業なのか、まだまだ10年程度の新興企業なのかが分かります。

創業から長い会社は企業風土が出来上がっていたり、既成概念にとらわれてしまうケースなどがありますが、新興企業はどんどん新しい戦略を売ってくるケースも想像できます。

 

グロース投資をする場合には、設立から浅い企業の方が成長度が高い銘柄に出会えるケースが高くなりますね。

 

2-5. 会社情報⑤「上場年月」

上場した年月が記載されています。

 

上場のときに得た資金を使って事業を一層拡大できるタイミングが10年以内かと思います。上場から10年以内で、大きく成長している株は成長株として認識できますし、市場からもまだまだ評価される可能性も高いです。

 

一方で、上場から20年や30年が経過している銘柄はすでに市場から一定の評価をされているため、少しの変化では株価が大きく動かない可能性も高いですね。

 

2-6. 会社情報⑥「特色」

上場企業が3800社以上ある中で、その銘柄の特徴を簡潔に50文字以内でまとめたのが「特色」です。

 

他社の差別化のポイントとして、企業の方向性やビジネスモデル、シェア、製品・サービス、ランキングなどが記載されています。

 

初めて目にする銘柄も多いと思いますので、まずはこちらの特徴を読んで企業の概要をチェックし、そのあと企業のホームページや決算短信を見ていくと効果的に企業を把握することができます。

 

2-7. 会社情報⑦「事業構成」

企業の事業セグメントとその売上構成比率が記載されています。

 

こちらは有価証券報告書や決算短信に書かれていて、多くの株の情報サイトにも掲載されていますので珍しいものでありませんが、企業を把握する上ではとても大切です。

一番売上構成比率の高いビジネスの市場が伸びているか、自社が伸びているかなど企業のファンダ分析の入り口になる指標ですね。

 

一方で、「この企業は〇〇に特化したの企業」だと思っていたら、別の事業が伸びていて本業の割合が減っているケースもあります。客観的に見るのに役立ちますね。

 

2-8. 会社情報⑧「海外比率」

事業の売上のうち何%が海外売上なのかをチェックできるのが「海外比率」ですね。

 

海外での売上比率がある場合には「【海外】」という表記があり、海外売上比率の割合が記載されています。

完全内需の国内だけの事業展開の場合には、とくに記載が無いため「【海外】」という表記が無ければ「国内100%」ですね。

 

2-9. 会社情報⑨「本社住所」

本社がどこにあるかという住所です。

東京や大阪など、都市圏にある企業は優秀な人材が採用しやすい。とも言われていますので、平均年収などをみながら総合的に判断する一つにしても良いですね。

 

一方で、長野県本社の企業が絶好調など特定の分野が活性化すると、特定のエリアの企業業績が高くなることがありますね。

 

2-10. 会社情報⑩「本社電話番号」

本社の代表電話番号です。

 

IRに問い合わせする場合にはIR用の電話番号がIRページに書かれているか、決算短信に書かれている電話番号にかけた方がスムーズですね。

 

2-11. 会社情報⑪「従業員数」

上場企業と連結の場合には自社および連結全体の社員数が記載されます。

 

従業員数はビジネスモデルによって全然違います。

従業員数が多い会社は人件費が高くなりますので、一定の規模以上にならないと業績によっては大きな影響が出てしまいますね。

従業員の少ない会社は仕組みを作って販売してるなど、効果的なビジネスモデルだと思いますし、人件費の占める割合が少ないと利益を別のところに投資できますね。

 

従業員数に合わせて知っておきたいのは、採用数・離職数ですね。

新卒採用・中途採用のいずれも採用経費は掛かりますし、面談が多ければその分、役員の時間も採用活動に割かれることになります。

 

2-12. 会社情報⑫「平均年齢」

若手社員を中心とした企業なのか、年齢層の高い社員を中心とした企業なのかによって、企業文化に差が出てきますね。

 

・新しいことにチャレンジしていく

・次世代が育っていく会社にしていく

・高額な人件費の年齢層の高い社員が少ない

という企業は変化に柔軟であり、成長の兆しがありますね。

 

ここは平均年齢ですので、実態としてはIRに確認などした方がいいですね。

 

2-13. 会社情報⑬「平均年収」

平均年収が高いということは、それだけ人件費コストが高いということですね。

しかし、よく考えてみると優秀な人材の年収が低いわけがありませんので、平均年収が高いということは役員等の報酬が特段高い企業なのか、優秀な社員が多い企業なのか。という考え方もできます。

 

飲食業など現場で働く方が多い業種では、優秀な人材が本社にいても平均年収が低い傾向にありますので、このあたりは業種・業態の確認も必要ですね。

 

2-14. 会社情報⑭「上場市場」

日本の証券取引所に上場していることはもちろんですが、アメリカなどの証券取引所に上場している場合にはこちらに記載されています。

特に投資をするうえでは注意は必要ないと思いますが、参考までに確認しておくのも良いかと思います。

 

2-15. 会社情報⑮「証券会社」

どこの証券会社がこの会社の株を取り扱っているかを確認することができます。

特段どこの証券会社と取引があるとよいなどの考え方はありませんので、取引のある証券会社を確認しておく程度ですね。

 

「幹」は幹事証券会社で、(主)は主幹事、(副)は副幹事を表します。

全て記載されておらず、省略されている場合もあります。

 

2-16. 会社情報⑯「株主名簿管理人」

株主名簿管理人の社名が記載されています。

自社で対応している場合には「自社」と記載されています。

 

2-17. 会社情報⑰「監査法人」

上場企業は決算を必ず監査法人にチェックをしてもらう必要がありますので、その監査法人の名前が記載されています。

 

監査法人と言えば「ビック4」と呼ばれる不動の大手4社があります。

ビック4は「デロイトトーマツ」「EY新日本」「あずさ」「PwCあらた」の4社です。

 

以前はこのビック4が監査法人であることは信頼の証拠でしたが、近年は東芝やアウトソーシング、EduLabなどの不適切会計などをビック4が担当していたことから、監査法人の変更をしている企業が増えている現状があります。

ちなみに2021年1~6月には上場企業のうち173社が監査法人を変更したそうで、準大手・中小の監査法人などへ変更しているケースが多いようですね。

 

2-18. 会社情報⑱「銀行」

取引のある金融機関が記載されています。

どこの銀行と取引があるかどうかはとても大事で、メガバンクとの取引があるかどうかはメガバンクが取引をしたいと感じる企業体であるかどうかの判断になります。

 

一方で、メガバンク以外の地銀や信金などが入っている場合には、どのような位置づけで参加しているのかを想像できるといいですね。

 

2-19. 会社情報⑲「仕入先」

主要な「仕入先」が記載されています。

記載が無い場合もあります。

 

掲載基準が特に明確になっていないのですが、連想ゲームで業績の良い企業の仕入先もまた好業績になる可能性も高いですね。

 

2-20. 会社情報⑳「販売先」

主要な「販売先」が記載されています。

記載が無い場合もあります。

 

掲載基準が特に明確になっていないのですが、連想ゲームで業績の良い企業の販売先もまた好業績になる可能性も高いですね。

 

2-21. 会社情報㉑「業種」

上場企業は上場するタイミングで33業種に分類されます。

業種によっては業種別指数の動きを追いかけていくと、業種全体の傾向が掴める場合があります。

 

業種別の社数をみると「情報通信業・サービス業」はそれぞれ500社以上あります。

一方で、「空運業・鉱業」はそれぞれ10社未満です。

 

株の業種をチェック!33の業種一覧・ランキングと投資への活かし方

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まとめ

四季報の基本情報について、各項目のご紹介をしてきました。

この2つのブロックだけで、21項目の情報が入っているんですね。会社の基本情報ではありますが、四季報の各エリアの中で一番情報量が多い場所です。

「特色」以外はオリジナルの情報はありませんが、特色以外の項目でも日ごろから簡単にチェックできたらいいと思う内容がありますので、まとまっていると便利ですね。

 

はじめて見る会社はどんな会社なのかをしっかりと確認し、いつも見ている会社は客観的に書かれた内容をあらためてチェックして先入観で勘違いしていないかなどをチェックしていきましょう。

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