03.ファンダメンタル編

信用倍率が1000倍超?異常に信用倍率が高い銘柄と投資の考え方

信用取引をしていなくても信用買い残や信用売り残を見た方がいいと聞いて、信用残についてはすでにご存じかと思います。

 

そして、もう1歩踏み込んで信用の買い残と売り残から信用倍率を計算してみたところ「信用倍率1000倍を超える銘柄」を見つけてどうしようか悩まれていることかと思います。

 

本記事では、信用倍率が1000倍を超えた銘柄のランキングやこれらの銘柄に投資する場合の考え方などをまとめました。

 

1. 信用倍率が1000倍を超える銘柄

信用倍率が1000倍を超える銘柄は、非常に異例な状況となっているため通常の銘柄と比較して注意した取引が必要となることは間違いありません。

 

信用倍率は「信用買い残÷信用売り残」で計算して求めますので、次のことが言えます。

信用倍率の高低理   由
信用倍率が高い・信用買い残が多い
信用倍率が低い・信用買い残が少ない
・信用売り残が多い
・(信用取引銘柄ではない信用

上記から、信用倍率が高い場合には「信用買い残が多い」つまり「信用取引でその銘柄を買って保有している株数が多い」ということになります。

現物で購入すると信用買い残にはなりませんので、信用買い残が多いということは信用買いされていることになります。

 

1-1.信用倍率ランキング トップ20

ここから信用倍率が高い銘柄のランキングを見ていきますので、実際にどれほど買い残が多いか確認していきましょう。

 

こちらのランキングの表は、2022年1月14日の取引終了後の信用残を使って計算した内容になります。

信用買いが多い企業もたくさんありますが、信用売り残が100株無いと倍率計算ができませんので、こちらは信用売り残がある前提のランキングとなります。

 

1位のネットHDは1,000倍どころではなく、約17,900倍ということで突出していますね。

 

信用倍率ランキング トップ20

コード名称信用買残信用売残信用倍率
17383ネットHD1,797,20010017972.0
23927フーバーB1,302,00010013020.0
36658シライ電子工業931,9001009319.0
44599ステムリム4,219,2005008438.4
54582シンバイオ製薬5,477,0001,0005477.0
63691リアルワールド525,8001005258.0
74263サスメド855,0002004275.0
83498霞ヶ関キャピタ413,2001004132.0
97371全研本社808,5002004042.5
104885室町ケミカル386,8001003868.0
112767フィールズ741,2002003706.0
129514エフオン721,2002003606.0
135486日立金属4,204,0001,2003503.3
144265IGS322,2001003222.0
152464ビジネスブレク320,2001003202.0
167347マーキュリア953,0003003176.7
177365シック・HLD310,0001003100.0
181887日本国土開発306,8001003068.0
193447信和303,1001003031.0
203649ファインデクス262,0001002620.0

※2022年1月14日時点のデータに基づいて作成

(出典:FPITによる独自作成)

 

実際に7383のネットHDのデータをYahoo!ファイナンスで確認するとこちらになります。

上記の表の1月14日時点では、信用残の週次デーたが更新されていなかったものと思われますので、前週の発表値になります。※信用残は週次で発表されます。

 

また、同日の信用倍率が1000倍を超えた銘柄は全部で60銘柄でした。

信用倍率銘柄数
10,000倍以上2
8,000倍以上2
6,000倍以上0
4,000倍以上4
2,000倍以上20
1,000倍以上31

 

1-2.信用売残は無いが信用買残が多いランキング トップ20

信用倍率を求める際に、信用売り残がゼロの場合には計算ができません。

 

そこで、信用売り残を一旦「1」と仮置きして倍率を策定したものになります。

正らしさは判断できませんが、信用売り残がゼロかつ信用買い残が多い企業のリストを作成してみました。このランキングに入ってくるような銘柄も売買にはかなり要注意ですね。

 

信用売り残がゼロの信用倍率ランキング トップ20

コード名称信用買残信用売残信用倍率
11757中小企業HLD37,499,300037,499,300
29318アジア開発C28,734,500028,734,500
32370メディネット14,466,000014,466,000
44764ネクサスバンク11,718,500011,718,500
56731ピクセラ9,857,50009,857,500
62134燦キャピタルM8,969,20008,969,200
73777FHTHLD7,797,70007,797,700
88256プロルート丸光7,194,50007,194,500
96366千代田化工建設6,880,70006,880,700
109973小僧寿し5,673,90005,673,900
113323レカム5,334,00005,334,000
124978リプロセル5,222,90005,222,900
135940不二サッシ5,187,70005,187,700
143390INEST5,065,30005,065,300
153823アクロディア4,911,00004,911,000
164583カイオムバイオ4,754,20004,754,200
176835アライドテレH4,565,10004,565,100
184571ナノキャリア4,557,70004,557,700
198894レボリュション4,515,00004,515,000
203776ブロードタワー3,893,40003,893,400

(出典:FPITによる独自作成)

 

 

2. 信用倍率が1000倍を超える3つの理由

信用買いをする場合の考えられる投資家の心理は次のようになります。

(1)上昇する銘柄がもっと株価が上がると思って買いまたは買い増し

(2)下落をした銘柄が将来上がることを見越して買いまたはナンピン

(3)IPO投資

 

上記の(1)で大幅に信用買いが入るケースも珍しいと思いますので、1000倍を超えるような信用買いが入るのは(2)(3)のようなケースですね。

 

3. 信用倍率の高い銘柄は出来高との関係をみる

信用倍率の高い株価を見ている場合には、出来高との関係をチェックしておくと良いでしょう。

 

そもそもは信用倍率が高い銘柄の購入は避けた方がいいものですので、この考え方は不要かもしれませんが私が考える購入する際の唯一の確認ポイントです。

もちろんファンダメンタルをしっかり分析して、テクニカルでもチャートが良いという前提になります。

 

ポイント

「信用買い残が出来高の3日分以内であること」

つまり、「信用買い残÷出来高」が「3以下」

 

実際に先ほどのランキングの上位10銘柄を見てみます。

1位のネットHD、6位のリアルワールド、8位の霞が関キャピタル、10位の室町ケミカルの4銘柄の信用買い残は、1日の出来高の3日分以内となっています。

 

信用買い残はもともと出来高の3日以内であれば需給面は非常に安定していると言われていますので、今回の1位のネットHDであっても需給は問題なようですね。

 

信用倍率ランキング トップ10と出来高比

コード名称信用買残信用売残信用倍率出来高出来高比
17383ネットHD1,797,20010017972.01,859,5001.0
23927フーバーB1,302,00010013020.0123,10010.6
36658シライ電子工業931,9001009319.0211,0004.4
44599ステムリム4,219,2005008438.4437,5009.6
54582シンバイオ製薬5,477,0001,0005477.0924,0005.9
63691リアルワールド525,8001005258.0194,8002.7
74263サスメド855,0002004275.0268,4003.2
83498霞ヶ関キャピタ413,2001004132.0232,7001.8
97371全研本社808,5002004042.5104,7007.7
104885室町ケミカル386,8001003868.0140,0002.8

(出典:FPITによる独自作成)

 

 

さいごに

信用倍率が高い銘柄は購入しない方がいいという話を聞いたことがあって、信用倍率を確認したら1000倍を超えている銘柄を見つけた場合には驚きますよね。

 

信用買い残が多い時点で、信用倍率とは関係なくウォッチ銘柄から外しておくことをおススメしますが、特にIPO銘柄などでは信用倍率が高い銘柄を見つけることは珍しくないと思います。

そんなときは3章でご紹介しましたが、出来高との比較をしてみると良いかと思います。

 

出来高は急激に減少する可能性もありますので、もしどうしても購入したい場合には信用倍率の高い銘柄からは目を離さないようにしましょう。

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