03.ファンダメンタル編

四季報の記事欄と見出しを活用!業績記事・材料記事の違いと投資法

四季報が発売されて最も気になるのが「見出し」とその説明記事ではないでしょうか。

 

この企業の次の3か月を東洋経済がどのように評価したのかは誰よりも早く見ることで先取りしたいという投資家さんは多いと思います。

しかしながら、実際にご自身で読んでみて「何となくわかるけど、どう評価してよいかわからない」「同じような表現は何が違うの」という疑問をお持ちではないでしょうか。

 

いわゆる「記事欄」の「見出し」と「業績記事・材料記事」については、図の③と考えて本記事を読んでいただければと思います。

③業務記事・材料記事

 

四季報の12のブロック

(出典:四季報より)

 

1. 次の四半期の「業績記事・材料記事」と【 】が見出し

四季報の「記事欄」には2つの見出しと2つの記事があります。

 

ここには主に企業の業績や注力しているポイントについて、きれいにまとめられているので投資している企業については必ず読みたいところですね。

四季報が発売される前にご自身がおこなったファンダメンタル分析や・IRへの電話取材の内容のチェックにもなりますね。

 

さて、記事欄は5つのルールに沿って書かれていますので、具体的に見ていきましょう。

 

ポイント

【記事欄のルール】

①【 】には一語でわかる見出しが入る

②前半に書かれる記事は「業績記事」

③後半に書かれる記事は「材料記事」

④記事欄の①②③は【 】を含めて180字

⑤四季報独自の見解で予想が書かれている

 

あらためて記事欄をみておきましょう。

 

四季報を毎号買う投資家さんたちにとって、もっとも変化のある部分はこの記事欄になりますので貴重内容でするね。

私はこの3つの魅力があるので継続してウォッチしています。

 

ポイント

記事欄の3つの魅力

・四季報独自のコメント

・雑誌等と異なり継続性があり中途半端な記載が無い

・実績の評論ではなく予想を書いている

 

 

2. 前半:業績記事は「今期の業績に関するコメント」

前半の業績記事は、この会社の今期の業績についてポイントが書かれています。

 

今期の業績を5~6行でまとめていますので、見出しが【 】を入れて5文字くらいですので95~115文字くらいでコンパクトにまとめてくれていますね。

 

2-1.業績記事の特徴と3つの視点

業績記事は「今期の業績」について書かれていますので、その企業の今期の業績をどう見るべきなのか、ご自身がその企業のファンダメンタル分析をしていればその分析と比較できますし、初めて見る場合にはトレンドをつかんだうえで詳細を見ていくことができ理解が早まります。

 

ポイント

【業績記事の特徴】

・必ず「今期の業績」の記事

・将来業績や過去の業績の振り返りは目的外

・決算日直前に発刊される四季報だけは「来期の業績」

(例)3月中旬発売の春号の3月決算銘柄の業績記事

 

決算日直前に発刊される号は、会社が決算結果発表や来期の業績予想を出す前に発表する前に来期業績を発表するのはすごいですね。

 

続いて、記載されている記事は次の3つの視点で書かれています。

 

ポイント

①前期実績と比較した今期予想

②前号に掲載した予想と比較した今期予想

③会社計画と比較した今期予想

 

2-2. 業績記事の「見出し」はルールに基づいて決まる

業績記事は2-1のとおり今期の事業について書かれていますので、ある程度統一性を持った見出しがつけられています。

 

大きくは横軸が「プラスイメージ」「中立的」「マイナスイメージ」に分けることができ、ブラス・マイナスには2段階あって計5段階に分類できます。

あとは比較対象となるデータの種類や利益または配当のいずれを中心としたコメントなのかで分けることができます。左いくほど強いメッセージですね。

 

こちらの見出しだけでなく他にもありますが、毎回考えられているのではなくある程度の言葉の定義の中で選択されているように感じます。

 

業績記事の見出し一例とその分類

(出典:四季報オンライン等からFPITによる独自作成)

 

注意ポイント

見出しのコメントで比較されているデータは次のとおりです

・原則「営業利益」が対象

・見出し一覧の「※」のついている3つだけ「純利益」

 

3. 後半:材料記事は「企業評価の主要ポイント」

後半の材料記事は、この会社を見る際の注力ポイントについて書かれています。

 

注力ポイントを3~4行でまとめていますので、見出しが【 】を入れて5文字くらいですので55~75文字くらいでコンパクトにまとめてくれていますね。

 

3-1. 材料記事の特徴と3つの視点

材料記事は「この会社を見る際の注力ポイント」について書かれていますので、その企業を分析するときに最も押さえておくべきポイントが分かります。

 

ファンダメンタル分析をする際に大切なのは、その企業の投資など力の入れどころや、業績に影響する変化やトラブルなどです。ここに何が書かれているのか、なぜその内容が書かれたのかを考えていくことが大切ですね。

初めて見る場合にはトレンドをつかんだうえで詳細を見ていくことができ理解が早まります。

 

記載されている記事は次の3つの視点で書かれています。

 

ポイント

①会社の事業計画の変化

⇒ 中計・M&A・提携・大型案件 など

②会社の投資情報

⇒ 工場・開発・DX・効率化・脱炭素 など

③会社の課題

⇒ テコ入れ・コロナ・見直し・〇〇ショックなど

 

3-2. 材料記事の「見出し」は独自性が強い

材料記事は各社の現状に合わせた内容が記載されたりトレンドの言葉が入りますので、比較的ルールが無く自由な見出しが入ります。

業績記事に関しては一定のルールで書かれていますので見出しに一定のルールがありましたが、材料記事はさまざまです。

 

材料記事の見出しを集計してみると、ある号の約3800社の見出しに対してトップ5は「開拓」「効率化」「新中計」「提携」「増強」といった汎用的な見出しでしたが、いずれも50社以下でしか使われていませんでした。

 

見出しは各社の状況に合わせて考えられていることが分かります。

 

4. 記事欄と見出しを活用した投資法

四季報を毎号しっかりと購入している投資家さんの多くはこの記事欄に注力していることかと思います。

インターネットや雑誌で四季報に付箋を貼ったり、蛍光ペンでチェックをしている投資家さんを見ると思いますが、多くの場合この見出しや記事欄の記事内容にチェックが入っていることが多いかと思います。

 

四季報の特徴の1つである年4回ずっと継続販売されていますので、前号でも前々号でも同様にこの企業を評価しています。過去の評価がどうだったのか、記者のこの企業の記事への信頼度は。という点はすぐに自分でチェックできますね。

 

4-1. 見出しから優良銘柄を探す

四季報をざっと読んだり、四季報オンラインで見出し検索をしても良いのですが、2-2でご紹介したようにプラスイメージの見出しの中でも強めのコメントに対してどのような企業があるか確認します。

 

「見出しが良い=株価が上がる」という単純なルールではないので、見出しの良い銘柄もしっかりと分析が必要です。今回の四季報から業績が変化する理由がある企業などを探せると効果が高いですね。

見出しが良くて変化がある銘柄、そしてその変化理由が記事に書かれている銘柄を見つけたいですね。

 

あとは「連続最高益」「最高益更新」などは企業の成長が安定的で投資家の注目度も高いので、ファンダメンタル分析とあわせて株価が割高ではないかのチェックをしておきたいですね。

 

4-2. ファンダメンタル分析として活用

すでにファンダメンタル分析をしている企業については、四季報が出た際にご自身の分析した結果にある「業績予想」「今後の成長要素」などが、この記事内容と乖離が無いかチェックすることが大切ですね。

 

例えばこんな感じですが、自分の分析とズレをチェックしてIRに電話するのも良いですね。

「今期はもう一段業績が伸びる」と推測して投資をしていたら、業績記事らに「上振れ」という題目が出て予想範囲も同じなのでこのまま保有する。

「新工場ができて生産能力があがるだろう」と推測して投資をしていたら、材料記事に「新工場」という題目が出て工場設立は確実だと確信した。

 

さいごに

四季報独自の調査結果から導き出された四季報の「記事欄」と「見出し」について、特徴や活用方法についてご理解いただけましたでしょうか。

 

四季報を毎号買う投資家さんたちにとって、もっとも変化のある部分はこの記事欄になりますね。記事欄の魅力は「四季報独自のコメント」「雑誌等と異なり継続性があり中途半端な記載が無い」「実績の評論ではなく予想を書いている」という点です。

 

ただ、「良い見出し=株価が上昇」ではありません。この記事欄は独自の調査を経た結果を180文字の枠内に業績記事と材料記事の2つに分け、見出しを付けて発信しています。この部分は本当に大変だと思いますが、記者の方がしっかりと書かれている部分ですので、確実に参考にしていきたいところです。

 

一方で、この内容だけで投資をしてはいけませんので、ご自身で決算短信や決算の補足資料を読むことで理解し、記事欄書かれた内容をご自分なりに納得して投資ができるようになると一層安心ですね。

良い銘柄に出会うきっかけとしては素晴らしいものだと思います。

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▶「株式投資×IT活用」を考える兼業投資家
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