03.ファンダメンタル編

特定株比率とは?特定株が占める割合の調べ方と比率の大きい会社

株の需給を知るために、特定株比率を見ておいた方が良い。というような話を聞いて「特定株比率」について調べているのではないでしょうか。

特定株とは、売買される可能性が低い株のことをいいますよね。
例えば、創業者・経営者・役員・金融機関・グループ会社などが保有している株が特定株に該当しますね。

特定株について詳しくはこちら

 

1. 特定株比率とは発行済株式数に占める特定株の割合

上場企業が発行している株式数を100%とした場合、その中で特定株がどのくらいの割合を占めているかを特定株比率といいます

特定株は別名安定株とも言われているくらいですので、日ごろから売買されない株式になります。

よって、特定株が多すぎる企業は少ない株の権利を売買し合うので、ボラティリティが大きかったり、急落時に売却できなかったりするデメリットがあります。

2. 特定株比率の調べ方

今のところ四季報の株主欄にある「<特定株>」の欄に記載されている割合しか特定株比率を知る方法を知りません

ただし、証券会社のホームページや独自のツールを見ると四季報の情報が記載されていますので、そちらでも確認することができます。
四季報の数値と、証券会社の数値は同じになります。

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3. 特定株比率の高い会社

特定株を保有している投資家が多い企業、つまり特定株比率が高い企業は、株式投資をする際に需給が悪いため、売買の際に価格のボラが大きく変動のある動きになる可能性があります。
また、特定株を現経営陣が保有している場合には、自身の財産を増やすためにも業績向上に一層力が入るかと思います。

特定株比率が高いとこのような状況に注意が必要です。

・特定株が多いと流動性が低いので初心者向けではない
・特定株を保有する大株主から成長へのこだわりをチェック
・特定株の割合が多い株は需給のバランスを要チェック

3-1.  実際の株主情報を見てみる(NFCホールディングス)

7169のNFCホールディングスは特定株比率が98.0%です。最も特定株が多い企業だと思います。

大株主1位の光通信が72.8%も保有していますね。
浮動株が1.5%しかないため、ほぼ個人投資家が少しだけ売買しているような企業ですね。

保険の代理店と派遣が主にサービスの会社ですね。

実際のチャートと出来高を確認すると、かなり出来高が低く株価のボラティリティも大きいですね。
平均出来高も1,300株しかありません
こういった株は個人投資家として投資がしづらいことと、かなかな長期保有しようとは思わないですよね。

 

3-2.  実際の株主情報を見てみる(ベルパーク社)

9441のベルパークは特定株比率が95.0%の企業です。

大株主の日本ビジネス開発社(未上場)が26.0%、社長の西川さんが21.4%、光通信が12.4%を保有しています。

ソフトバンク主体から3社取り扱える携帯ショップへと変化している企業ですね。

こちらの株も実際のチャートと出来高を確認すると、かなり出来高が低く株価のボラティリティも大きいですね。
平均出来高が600株しかありません
こういった株は個人投資家として投資がしづらいことと、かなかな長期保有しようとは思わないですよね。

 

3-3.  実際の株主情報を見てみる(I-ne社)

4933のI-neは特定株比率が93.4%になります。

浮動株10%以上、特定株は90%以下になると需給も安定し始めてきます。
I-neは特定株が93.4%に対して、投信も13.7%ありますね。これは計算方法から重複があり100%を超えることもあります。

大株主のグループ会社のYBOが(未上場)が43.0%、社長の大西さんが28.4%、日本カストディ信託が11.1%を保有しています。

2021年5月の本決算発表で「ボタニスト」の成長を説明したことと、強気の予想により株価が大きく上振れました。

特定株が93%のため、業績が良くて成長しているようであれば急な出来高をともなって上昇することもありますね。
平均出来高は97,500株ありますね。
量を増やした売買は難しいかもしれませんが、ある程度の需給はよさそうですね。
信用買い残等のチェックをしながら将来リスクを見て売買が必要になりそうですね。

 

3-4.  実際の株主情報を見てみる(バイセル社)

7685のバイセルテクノロジーズは、特定株比率が90.0%になります。

バイセルテクノロジーズは特定株が90.0%、浮動株が0.0%の表示ですね。
このあたりの表記については疑問がありますが、大株主10位を見る限り90%を特定株が占めていることは変わらないですね。

大株主のミダスキャピタルが1位・2位で65.1%、エアトリの会長の大石さんが8.5%、社長の岩田さんが6.2%を保有しています。

着物などの高額品の中古品の出張買取や販売をしている会社ですね。

平均出来高は72,000株ありますね
投資会社や他社の役員が大株主ですので、事業成長に向けた強い要請が入っているんでしょうか。
コロナ禍で中古の高額品の売買が活発化して業績好調ですね。

 

3-5. トヨタなど公表されていない企業もある

7203のトヨタ自動車は大株主が明確ではありますが、株主の比率が表記されていないですね。

よって特定株比率は分かりません。

大株主トップ10で55%程度の保有ですが、浮動株等も多いですし特に特定株を気にして売買が必要な株ではないですね。

 

4. 特定株比率の投資への影響

投資をする際には特定株比率にも目を向けて。どのくらいの株が市場で売買されているのかにも注視しましょう。

また、大株主トップ10などを見て「株主がこのメンバーだから、このような影響がありそう。」というような思考で成長するかどうかを考えていけるといいですね。
こちらのポイントで目を向けていけると、効果的な投資につながると思います。

ただし、特定株が低い株の方が流動性が高くて安心して投資ができますので、初心者の方は流動性の高い株を購入した方がいいですね。

ポイント

・特定株が多いと流動性が低いので初心者向けではない
・特定株を保有する大株主から成長へのこだわりをチェック
・特定株の割合が多い株は需給のバランスを要チェック

 

さいごに

発行済み株式数のうち、特定株の占める割合が特定株比率だということがお分かりいただけたと思います。

一方で、特定株の定義を一般的に利用されている四季報の考え方を利用した場合には、大株主トップ10を含むことから特定株比率と浮動株比率を足すと100%を超えてしまうこともあります。

あくまでも投資をする際の目安として浮動株比率を活用すると効果的だと思います。

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▶「株式投資×IT活用」を考える兼業投資家
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