仮に特定株や浮動株など、株の需給を調べる際に必要となってきますよね。需給を調べているうちに「特定株」という言葉が出てきて調べられていることかと思います。
特定株が多い企業は、、、、
特定株が少ない企業は、、、
大株主に経営陣が入っている企業は、、、
など、株式投資の際に株主情報やその割合を気にすることも多々あります。
今回は、「特定株」について知っていただき、株式投資をする際には特定株を意識して需給について考えてみましょう。
目次
1. 特定株とは売買される可能性が低い株
特定株は「売買される可能性が低い株」です。つまり「安定株」とも言われています。
では、なぜ「特定」「安定」などというのでしょうか。
これが特定株の特徴で、特定株とは「大株主トップ10+役員持株+自己株式」として保有されている株のことです。
大株主トップ10というと、「創業者、経営者、役員、金融機関、証券会社」など、日々売買するような株主ではないことから「安定」と言われます。
特に株を5%以上持っている場合には大量保有報告書を提出する義務があり、1%以上株が変動すると大量保有報告書を再提出する必要もありますので、大きな変動があることはほぼありません。
2. 特定株の調べ方
特定株を調べる方法は様々ありますが、一番わかりやすいのは四季報の株主情報です。
四季報の情報は、書籍版の四季報・四季報オンラインのほか、証券会社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券など)の個別株ページで確認ができますね。また株探でも大株主情報の確認ができます。
特定株の株数を自分で計算することは難しく、実際には「特定株比率」が掲載されていますので、発行済み株式数と特定株比率を掛けて計算結果から求めることになります。
オラクル社の場合には、特定株は「82.8%」になります。
「発行済み株式数×特定株比率」で特定株の株数が出ますので、この計算を使って調べることができます。
もちろん、特定株比率を参考にしても良いかと思います。
3. 特定株の定義を確認
特定株を調べる際の注意点としては、特定株の定義が2種類ある点です。
注意ポイント
(1)普段よく目にするため、おおよそ覚えておいた方がよい「四季報の特定株の考え方」
(2)普段は使わないけど、違う考え方もあるという概念だけ知っておいた方がよい「東証の特定株の考え方」
3-1. 四季報の基準(こちらを活用する)
四季報においては、特定株を少数特定者持株数とも言います。四季報の説明を参考にしています。
1章でも触れましたが、大株主の10位までと役員持株(役員持株会も含みます)および自己株式の単純合計を特定株としています。それらの単純合計が特定株、言い換えると少数特定者持株数になります。
大株主に日本証券決済金融、従業員持株会などがある場合も特定株にそのまま算入しています。特定株割合を見る際には、上場廃止基準とは異なることには注意が必要です。
実際に株式投資をする差には、細かい条件は活用する場面が少ないため、上記の点を確認できていればよいかと思います。
3-2. 東証の基準(普段は使わない)
東証では、特定株の考え方を次のようにしています。 JPX【浮動株比率の算定方法】を参考にしています。
大株主上位10位の保有株、自己株式等(相互保有株式 )、役員等の保有株、その他東証が適当とみなす事例としています。
ただし、「大株主上位 10 位の保有株」であっても、東証が浮動株とみなすことが適当であると判断した場合には特定株に含みません。
具体的には「証券金融会社、決済機関、DR発行のために預託された株式の名義人」は特定株に含まれません。
4. 特定株の情報を活用する3つのケース
特定株の株数や割合が分かると、この特定株の情報を投資に活かすことができるようになります。
ポイント
・特定株が多いと流動性が低いので初心者向けではない
・特定株を保有する大株主から成長へのこだわりをチェック
・特定株の割合が多い株は需給のバランスを要チェック
4-1. 特定株が多いと流動性が低いので初心者向けではない
発行している株の多さだけではなく特定株の割合を見ておかなければならないのは、実際に特定株の割合が多い場合には市場で売り買いしている投資家が少ないということになります。
例えば
発行株数 10,000,000株
特定株数 8,000,000株(80%)
このような場合、売買できる株は2,000,000株です。
つまり100株単位での取引のため2,000単元しかありません。
この2,000単元の株を売り買いしている市場にいることになります。
投資家の参入が少ないため少し売ったり買ったりするだけで株価が大きく変動する可能性があります。
また、業績発表が芳しくない場合や、不祥事があった場合には買いたい人がいないため急落して売れない可能性もあります。
このように市場の流れや個別銘柄の癖、ファインダメンタルを調べたりIRへ問い合わせをすることで安定した取引ができるようになるかもしれませんが、初心者には厳しい銘柄となります。
初心者・初級者の方は、まずは特定株の割合が少ない会社から取引した方が安心ですね。
4-2. 特定株を保有する大株主から成長へのこだわりをチェック
特定株のトップ10を見た場合に、創業者や経営陣が高い株保有率である場合があります。この場合、株価が上がり続ければ将来の自分の財産を増やすことになりますので経営陣が成果を出そうと頑張る可能性が高くなります。
時価総額が大きい会社になると大株主に個人の名前が一人も入っていない場合もあります。経営者といっても給与が主体の会社と株主として財産を持っている会社では一層後者の方が力が入りますよね。特に新興系の会社に多いですね。ただし、あまりにも持株数が多いと逆に業績が伸び悩んでいる会社もありますので、ここは見極めが必要ですね。
経営陣が多くの特定株を持っている場合には、株主総会へ参加したり決算発表動画をみるなど、経営陣の勢いやビジネスに対する自信をご自身で確認しましょう。
4-3. 特定株の割合が多い株は需給のバランスを要チェック
特定株が多い会社は「誰が多くの株を持っているのか」が重要でしたが、投資会社や信用買いが多いと将来の売り圧力にもなりかねません。
株探の大株主欄を見て大量保有報告書の変動が無いか、証券会社の個別銘柄のページで信用買いのチェックもしておきましょう。
個人の信用買いが多くなってしまうと売って買い戻さないといけないので、株価が下落してしまうと戻りが鈍くなります。
5. 特定株が多いと上場廃止に
東証一部・二部の上場廃止基準は「株主数が400人未満になった場合」、「流通株式数が2,000単位未満になった場合」、「流通時価総額が5億円未満になった場合」、「流通株式比率が5%未満になった場合」、「時価総額が10億円となった場合」などです。特定株が増えすぎると上場廃止に近づいていきます。
TOBなどが行われる場合には公開されて株を買いこんでいきますが、自社の経営陣が持株が多いとMBOにつながる場合もありますね。
さいごに
特定株がどのような株のことを言っているのかお分かりいただけたでしょうか。
特定株は売買される可能性が低い株だとということを冒頭でお伝えしましたが、その理由やどのように投資をに活かしていけばよいかがお分かりいただけたのではないでしょうか。
特定株の割合も大切ですし、誰が特定株を保有しているかも大切だですね。
経営陣が成長に貪欲な会社、ビジネスが成長することに大きな自信を持っている会社へ投資をしていきましょう。