03.ファンダメンタル編

カタリストとは?個別株の相場が上昇する材料や意味をつかみ取ろう

株式投資を始めてセミナーや投資塾などで、個別株の話を聞くようになってくると「カタリスト」という言葉が出てくることがあります。

 

「カタリストという言葉を聞いて、どんな意味なんだろう」「どんなことを押さえておかないといけないのだろう」と悩まれていることかと思います。

 

私は投資をはじめて8年後くらいに初めて聞きましたので、投資の手法によっても聞くか聞かないかのタイミングは違うと思います。今となっては、私が現在注力している投資法には相場の動きが大切ですので日々活用しています。

 

本記事では「カタリスト」を知って投資に活かしていけるように意味や探し方についてご紹介していきます。

 

1. 株のカタリストとは「相場を動かす材料」

カタリストの意味自体は難しくなく「相場を大きく動かすきっかけとなった材料」という意味です。

 

参考

もともとは「(化学反応を促す)触媒」という意味。

 

市場全体の話もありますが、それはとてつもなく大きな話なので日ごろ耳にする「カタリスト」は個別株の相場を上昇させるきっかけになるような情報のことをカタリストだととらえておけば良いかと思います。

 

過去に上昇した銘柄のきっかけを「カタリスト」と言って話すことよりも、未来に向けて上昇するための要因を探す会話の方が発展的で良いですね。

 

例えばこんな感じでカタリストを使います

「この株が長く続いたBOXを抜けていくためのカタリストは?」

「国会で〇〇の予算案が可決。これで〇〇の推進が一気に進むのでカタリストになる・・・」

「この銘柄のカタリストは、トヨタのEVへの積極参入。理由は、EV電池で利用するこの材料を作っているから・・・」

「この銘柄のカタリストは、コロナによるキャンプニーズの増加。理由は、キャンプユーザーの増加とキャンプ用品購入者の増加・・・」

 

 

2. 5つのカタリストを理解する

カタリストは株価が変動する材料となりますが、この材料はチャートから生まれるテクニカル的なものではなく、企業業績、政府の方針、業種特有などのファンダメンタル的なものが多くなります。

 

個別の株価が変動していくような影響を与える材料と言えば、かなり強い材料であり業績改善だけに留まらず株主のメリットまで必要なります。

 

大きく5つのカタリストがあります。

ポイント

①企業の新しい変化(新製品・新経営陣など)

②企業の業績成長の要因

③M&A・資本提携・業務提携など

④業種・テーマに特化した市況

⑤国策・補助金等の恩恵

 

2-1. 企業の新しい変化(新製品・新経営陣など)

直接影響度が大きいカタリストとして挙げられるのが、オニールのCAN-SLIMの「N」にあたる「新製品や新サービス・新経営陣の発表とそれによる変化」ですね。

 

具体的に見ていくと、オニールはこのレベルまで求めています。

「新製品」とは新成分を配合した食器洗剤のようなものではなく、暮らしが劇的に変わるような新しい新製品をリリースする場合。

「新経営陣」は、今までの経営陣とは考え方や経営手法が異なるなど、今まで企業が大きく成長しなかった理由を一掃してくれるような経営陣

 

しかし、実際には上記のようなビックチェンジはなかなかありません。

業績が大きく伸びていくことが想像できる事業計画につながっていくような要因として確固たる理由になるか、新規で取引先が増えていくか、ということがイメージではる内容がいいですね。

 

注意ポイント

この例のように「市場成長」「シェア」などお客様を一緒に見る必要がある。

食器洗剤を出している企業が新成分の食器洗剤を出したとしても、食器洗剤の市場が拡大していくと思えず、シェアも大きくは動かない可能性が高いとなると売上・利益に大きな影響を与えない

 

2-2. 企業の業績成長の要因

新サービスではないけれど具体的な成長計画の裏付けになるようなカタリストとして考えられるのが、「新規出店数の増加や販売網の拡大、エリア出店などの企業の業績成長の要因」になりますね。

 

カタリストの一例です

・美容室であれば新規出店計画と実績

・SaaSサービスであれば新規契約数と解約数

・製造業であれば新工場による生産力増

 

2-3. M&A・資本提携・業務提携など

自社だけでなく他社と一緒に作り上げていくカタリストとして考えられるのが、「M&Aや資本提携・業務提携など」になりますね。

こちらは、単純にどこかと話を合わせればいいのではなく、それぞれ内容を精査してどれだけ直接的な影響があるかの、今後の相乗効果がいかに見込めるかを想像して進めていく必要があります。それを受けて、直近の業績影響が大きいようであれば、直近の相場への影響が大きくなってきます。

 

やはり、現在の業績をさらに良くしていくために、この3つのどれであってもどのように寄与していくのか企業が分かりやすく投資家に伝え、それが分かりやすくかつ直近からすぐに影響してくる度合いが高いほど、株価の変動が大きくなりますね。

 

ポイント

・M&Aは買収した先の力量と相乗効果

・資本提携は提携先との相互メリット

・業務提携は提携内容による業績影響

 

2-4. 業種・テーマに特化した市況

業種やテーマに特化した市況がカタリストになるのは、「海運や半導体など市況の影響を受ける銘柄」の場合になりますね。

個別株の特徴が株価への影響度が強い銘柄と、市況の影響が株価へかなりの影響を与える銘柄がありますので、それぞれの銘柄の特徴をしっかり押さえておいた方がいいですね。

 

業種・テーマに影響を受けるカタリストの一例です

・バルチック海運指数に影響される海運銘柄

・半導体市場のニーズの強弱に影響される銘柄

・中国等の特定の国の政治状況に影響をされる銘柄

 

2-5. 国策・補助金等の恩恵

国策や補助金等の恩恵がカタリストになるのは、「公共事業、IT導入補助金、保育園の事業化、消費税の変動、軽減措置など」の対象となる企業です。

 

この場合、実際には国策の規模や予算総額などの確認が必要であったり、単年ではない場合が多いので1年度当たりの規模や予算もチェックしておく必要があります。

そして、その該当する企業が、その予算からどれだけの売上と利益が取れるかについてもご自身で試算が必要になりますね。

 

試算が難しい場合には、決算説明資料などに発表された内容が盛り込まれた後に確認して投資をしていくというのも良いかと思います。

発表の際には盛り上がりますが、一旦相場が落ち着いてしまう可能性が高いですね。

 

3. 「カタリスト」を調べる方法

カタリストといえるような材料は、大半の場合ではニュース、指標の発表、四半期決算・本決算発表、政府からの発表などになりますので、日々の情報の中でキャッチしていくことになりますね。

 

特定の企業のカタリストを調べる方法

・適時開示

・IRニュース

・決算短信、有価証券報告書

・決算説明資料

・株式の情報サイト(Yahoo!ファイナンス、株探 他)

など

 

4. 「カタリスト」が必要とされる意味

株式投資の手法によってはカタリストを重要視しない場合もありますね。

配当狙い、優待狙いなどの投資や、バリュー株で長期目線の場合には、重要視されないケースが多いかと思います。

 

カタリストを重要視するのは値動きのある銘柄へ投資をする手法の場合が多く、私は成長株投資をしていますのでこのカタリストによる株価変動がとても大切になります。

 

成長株投資は「株価が上がることで利益を取る」手法であり、「今成長を続けている株」に投資していきますのでカタリストがとても大切です。

 

PBR・PERを使って割安株を見つけバリュー投資をした場合には、その銘柄が割安のまま評価されないと、ご自身が「ここまで戻るはずだから割安」と思った株価まで戻らず、バリュートラップに悩まされます。

 

ポイント

成長株投資は、現在の会社の価値に対して割安というより、未来の会社の価値に対して割安という考え方の方が近いですので、未来の会社の価値を上げる理由、つまりカタリストが必要になります。

 

さいごに

「カタリスト」という難しい言葉を聞いてどうしようと思われていたかもしれませんが、ファンダメンタル分析をしている場合には、日ごろ対応されていたことを別名で聞いたという内容かと思います。

 

カタリストで重要なことは「株価を変動させる材料になるかどうか」であり、このカタリストは3~5年といった長期的なものだと時間軸が合わない投資家さんが使っている印象で、やはりカタリストを気にされる投資家さんは直近の相場に目を向けている投資家さんが多いと思います。

 

結局は長期投資であっても、割安株の株価が上がらなければバリュー株投資も意味が無いように思うのでカタリストは必要だという結論になるような気がしますが、今回はこの点は考察までとしたいと思います。

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▶「株式投資×IT活用」を考える兼業投資家
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