株式投資をする中で「信用買い残」や「信用売り残」がどの程度までであれば良いのか目安を知りたいと思われることも多いですね。
そして、もう少し調べると「株を購入する際に信用倍率を基準として考えた方が良いのではないか」と思い始めて信用倍率の目安を探されているのではないでしょうか。
たしかに、投資家さんたちが「信用倍率をどのように見ているのか」気になりますよね。
信用倍率は将来の株価の値動きの予想や、他の投資家さんの心理を見ることができるようになります。
ただし、信用倍率を活用する際の注意点は「投資法」の違いについて理解をしていることになります。
本記事では、信用倍率の目安や基準の考え方、信用倍率から今後の株価の動きの予測法についてご紹介していきます。
目次
1. 信用倍率の目安は「1倍を基準に出来高もチェックして決める」
信用倍率の基準は一般的には「1倍」と言われています。
信用倍率の計算は単純で、信用買い残を信用売り残で割った単純な数値となります。
信用倍率 = 信用買い残 ÷ 信用売り残
株式投資では株価が上昇する銘柄を購入する投資家さんの方が多いため、信用取引も信用倍率が1倍以上になる銘柄が大半となります。
信用倍率が高いということは、「将来この銘柄が値上げするだろう」と予測して信用買いをする投資家さんが多いということですね。
また、同じ信用倍率であっても信用買い残と信用売り残の量にも注意が必要です。
そもそも小型株の中には信用買いが認められていない銘柄がありますし、信用買い残もそれほど多くなくても10倍になっているような銘柄もあります。
信用倍率を見た後は、信用買いされている株数が出来高と比べてどの程度多いのかを合わせて確認しておくと良いですね。
信用買い残 | 信用売り残 | 信用倍率 | |
A社 | 10,000株 | 1,000株 | 10倍 |
B社 | 100万株 | 10万株 | 10倍 |
上記の場合、同じ10倍であってもA社の信用買い残はおおよそ影響のないものになりますね。
一方で、B社は普段の出来高の何倍の信用買いがあるかという点には、将来の売り圧力になる可能性があるため注意が必要になります。
(参考)「信用倍率」と「貸借倍率」の違い
「信用倍率」と合わせて似たような言葉で「貸借倍率」という言葉があります。
「信用倍率」は制度信用と一般信用を合わせた信用取引の株数を見ます。
「貸借倍率」は制度信用のみの信用取引の株数を見ます。
一般的に制度信用は最大6ヶ月、一般信用は無期限となっているため、制度信用の買い残が多い場合には6ヶ月で売却する必要がある状態で取引をしている方が多いということになりますね。
2. 信用倍率が高い銘柄の今後の株価予想
信用倍率が1倍より高くなっていく場合、「信用買い残>信用売り残」の状態で信用買い残の方が増加が多いと信用倍率も高くなっていきますね。
信用買い残が増えていくということは、将来のその銘柄の株価が上昇すると考えている投資家さんが多いということになります。
ただし、すぐに株価が上がるかどうかは別の話です。
一つの考え方として、信用買いをしている投資家さんの時間軸について考えておきましょう。
・NISAなどのように長期投資を視野に入れている
・3ヶ月程度での上昇を視野に入れている
・1週間程度での上昇を視野に入れている
また、上昇率をどの程度狙っている投資家さんが多いのかも考えておきましょう。
・前回の高値付近の株価を狙っている
・新高値で上振れていくことを狙っている
・特に考えずにリバウンド狙い
出来高をともなって株価が上昇をしていく場合には、信用買い残が増えても1日の出来高の2~5倍程度のに収まっていれば、いずれ訪れる信用買い残の将来の売り圧力にも耐えられると思います。
それを超える信用買い残が増えている場合には、要注意ですね。
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3. 信用倍率が低い銘柄の今後の株価予想
信用倍率が1倍に近づいてきたり、1倍を下回るような場合には、「信用売り残>信用買い残」の状態で信用売り残の方が増加が多いと信用倍率も低くなっていきますね。
信用倍率が低い場合には2つの考え方があります。
・信用買い残も信用売り残も少なく、信用倍率も低い
・信用買い残も信用売り残も多く、信用倍率が低い
前者の場合には、信用買いをしている投資家が少ないため、将来の返済リスク等については考えなくてよいので、信用倍率も気にしなくてよいかと思います。
あえて気にするのであれば、なぜ信用買いをする投資家さんが少ないのかというところですね。
後者は株価が上昇してくると信用買いをする投資家さんも増えますが、そろそろ天井ではというところで信用売りをしてくる投資家さんもいます。
信用買いが増えてもそれ以上に信用売りが増えることで信用倍率は下がってきます。
4. 投資法に合わせた「信用倍率」の活用法
信用倍率には目安として「1倍」という基準はありますが、適正値などはありません。
各銘柄の特徴とその銘柄の信用買い残や信用売り残が「値動きに与える影響」を見ていくことが大切ですね。
値動きへの影響は、主にこの2つの視点で見ていきます。
・信用買い残と信用売り残の変化率
・信用買い残と信用売り残の出来高と比較した倍率
ただし、割安な株価で購入するような手法を取る場合には、短期的な値上がりが無くても良いので需給が悪くても購入するケースもあるかと思います。
ご自身の投資法や時間軸から見て、思い描いたシナリオをどおりの値動きをしていくことに影響があるかどうかをしっかりと考察していくことが大切ですね。
さいごに
信用倍率を見ていくことはご自身が投資するめいがや、投資をした銘柄の将来の値動きを予想する一つの情報としてとても大切ですね。
一方で、信用倍率は1倍を基準として考えていきますが、銘柄ごとに適正な数値が異なりますので、ここはご自身で判断していく必要がありますね。
信用買い残が多いか少ないかを考える際には、平均出来高の2~5倍までであれば適正範囲という考え方もありますので、信用倍率と同時に信用買いの状況を見ることはとても大切ですね。