株式投資を始めると「どの位置で利益確定や損切りをするべきか」と悩むことが多くなりますね。
インターネット等で調べていると資金管理を大切にしている手法などでは「同値撤退」という言葉が出てきて、どう考えたらいいのだろうか調べられていることかと思います。
「損を減らすために高めに損切りラインを設定したら損切りされて、そのあと大きく上昇した・・・」
「リバウンドを想定して低めに損切りをラインを設定したら損失が拡大した・・・」
こんな経験があり売買のタイミングについて、特に損切りの考え方について悩まれているかと思います。
最初に考え方を「同値撤退」という考え方をそろえておきたいと思います。
ポイント
「同値撤退」には次の2つの考え方がありますが、本記事では②について解説します
①購入したあとに下落して、購入した株価まで戻ったので撤退する
②購入したあとに上昇して、購入した株価まで戻ったので撤退する
具体的にはこちらの図のようなケースのことです。
例えばこちらのようにカップウィズハンドルのブレイクポイントで購入して、そのあと上昇しますが購入したところまで株価が下落しています。
カップウィズハンドルかどうかは置いておいて、ご自身が購入したあとに株価が上昇して同値まで戻ってきたケースを考えていきます。
目次
1.株は同値撤退が必須!同値撤退による資金管理は次の成功につながる
株式投資の投資法は様々ありますが、やはりある程度の期間で成功を掴んでいくためには資金管理が大切になります。
投資資金として1,000万円を超える資金を余裕資金として準備でき、バリュー投資や配当狙いであれば別かもしれません。
ただ、多くの場合にはそれほどの余裕資金は準備できませんので、ある程度の期間である程度の成果を出す必要があります。
(投資資金については、無くなっても良いと思えるような今後の余裕資金での投資が原則ですね)
では、なぜ同値撤退をすると資金管理ができ、次の成功につながっていくかということです。
それは株式投資を「投機」ではなく「投資」として行っている場合には、購入した銘柄が上昇するという理由があって投資をします。
しかし、株価の動きは単純ではないため、購入したあとに上昇するかもしれませんが、そのあと下落する場合も大いにあります。
そんな場合に、損を出さないようにすることはとても大切ですので、
・購入したあとに下落した場合には損切りラインの設定
・購入したあとに上昇した場合には同値撤退の設定
これをすることで資金を減少させないようにします。
上場企業は約3800社ありますので、ご自身が投資した銘柄以外にも良い銘柄や上昇する銘柄があるケースも多く、その銘柄への投資機会を逃さないことが大切です。
もし含み損を抱えて「いつか上昇するはず」と思っていると、資金を眠らせてしまうことになり、チャンスを逃してしまいます。
2.株は同値撤退をすべき3つの理由
同値撤退をすべき理由は、1章のとおり資金管理をすることでチャンスを逃さないためということです。
では、なぜ同値撤退なのでしょうか。
同値撤退をすべき理由は次の3つです。
ポイント
(1)損小利大による資金管理
(2)自分のシナリオの間違いを認める
(3)チャンスを確実に摘み取る
1つずつ確認していきましょう。
2-1.理由①:損小利大による資金管理
単純に考えると購入した銘柄が上昇する確率と下落する確率は50%ずつです。
ここにテクニカル分析やファンダメンタル分析の結果を踏まえて、上昇する確率を上げたりすでに上昇を始めている銘柄に順張りで着いていくことで上昇する確率を上げていきますよね。
しかし、その銘柄が含み益になっても、ずっと含み益を増やし続けるかどうかは別の話です。
よって、いわゆる投資の世界で言われている「損小利大」を狙わないと、株式投資では成功できないのです。
購入した銘柄が上昇して含み益が出ていたにも関わらず、何かの理由により株価が下落をして購入した金額まで戻ってきたケースはプラスマイナス0で終えておくことで損をしないということですね。
ポイント
株式投資は銘柄の業績だけで株価が動くわけではなく、相場全体の流れや投資家の心理、機関投資家の動きなど様々な理由で株価が変動します。
業績や財務状況、将来性が明るい銘柄であっても、一旦下落してしまうと再び上昇しない銘柄もあります。
その前提に立てば、含み益が出た銘柄が何らかの理由で下落をして購入した株価と同値になった場合には一度撤退することが得策になります。
そのあと再び上昇したら再度購入すればよいですよね。
長期間の含み損を抱えて塩漬けにしてしまうといつまでも資金が活用できずに投資機会を失うのはもったいないです。
損を小さくするはずが大きくしてしまって資金を眠らせたり、損が膨らんで大きく資金を減らしたりすると利益を大きくできるチャンスを逃してしまいますので同値撤退をしておくことが大切ですね。
2-2.理由②:自分のシナリオの間違いを認める
「投資」をしている場合には、投資法によりますがファンダメンタル分析またはテクニカル分析をもとに購入する理由がありますよね。
そして、購入したあとに上昇したらどうする、下落したらどうするというシナリオを考えているはずですね。
株式投資をする際にご自身が「投機」か「投資」かどちらをしているのかは、勉強されている方はお分かりですよね。
雰囲気で投資をしたり誰かが言っていたことを鵜吞みにして投資をしている方は、実は「投機」をしていることになります。
では、そのシナリオとはどう向き合ったらいいのでしょうか。
同値撤退を考える場合には、ご自身が考えた通り購入してから含み益がでてシナリオ通りに一旦動いた銘柄ですね。
しかし、含み益がなくなり購入した金額まで株価が下がってきた場合には、購入した際のシナリオが崩れているはずだということです。
それをしっかりと認めて気持ちを新たに別の銘柄に投資をしていくしいう流れが損小利大につながるため、そのために同値撤退を設定して冷静になることが大切です。
ポイント
購入するときには上昇することを前提に購入しているはずですので、本来は購入した金額より下がるということは想定と異なります。
すぐに上昇をしない場合も多いので損切りラインを10%以内に設定すると良いのですが、そのあと含み益がある程度あったにも関わらず下落した場合には想定シナリオが崩れていることが多いかと思います。
上昇を続けることができなかったことにも理由があるはずですので、相場環境をはじめとして前提が変わったのであればシナリオも修正が必要になります。
銘柄に一方的に惚れ込んでしまって下落しても売却しない場合には、最初から下落しても持ち続けるというシナリオなら良いですね。
ただ、上昇するような銘柄を購入したいと思っていた場合には、これはやってはいけないことですね。
自分が描いたシナリオを否定されたくないという想いや、いい銘柄だから下落しても上がるはずという点を回避できるかどうかは、本当に自分との戦いになります。
2-3.理由③:チャンスを確実に摘み取る
株式投資をしているとポジションを持っていないとチャンスを逃すと思ってしまい、ポジションをどうしても持ちたい気分になります。
また、含み損で損切りをすると取り返したいという冷静に判断できない状態でトレードをしてしまいます。
しかし、相場が悪い場合は特に自分が保有する銘柄は想像以上に上昇しづらいものであり、相場が良ければ上昇するものも下落してしまいます。
約3800銘柄もある上場企業のうち、個人投資家だけでなく機関投資家などの資金が入って大きく上昇する銘柄に出会うのは難しいものです。
ご自身がこれだと思って購入した銘柄も実はそれほど資金が入っていなかったり、弱い投資家ばかりで少しの下落で売却してしまうような投資家が多いとうまくいきません。
チャンスをつかみ取るには、チャンスのときにチャンスな銘柄を購入できる準備が必要になります。
つまり、「キャッシュポジションが多くいつでも投資できる状態」または「含み益の銘柄が多く、利確して次の銘柄に乗り換えられる状態」というのが理想ですね。
いずれも一度購入した銘柄が含み益になったのであれば、そこから下落して同値撤退をすることを前提にトレードをしていれば資金を減らすことなく投資をすることができます。
資金管理をして資金を守った投資をすることで、チャンスを確実につかみ取る準備ができているということになります。
3.同値撤退をするための実際のトレード方法:「逆指値」
株を購入してすぐに同値撤退の設定をしてしまうと、多くの場合には数分もしくは数時間・数日で清算されてしまう可能性が高くなりますよね。
資金管理の観点からは逆指値をしておいて、自分が考えたシナリオから外れてしまったら売却されるようにしておくことが大切ですね。
同値撤退を設定するためには投資法にもよりますが、資金管理の観点から銘柄を購入した時点では最大でも10%以内の損切ラインを設定しておくところから始まります。
そのあと、上昇に合わせて損切りラインを調整していき、ある程度の含み益ができたら想定しない下落が発生しても同値撤退がされるように設定をしておきます。
この場合の設定は「逆指値注文」を使います。
購入してから同値撤退をするまでの具体的な流れは次のようになります。
ポイント
①分析結果等から上昇すると判断した銘柄を購入する
②最初は10%以内の損切りラインを入れて、上昇することを確認する
③上昇が始まってある程度(3%以上を目安に自由に設定)の上昇があったら損切ラインを切り上げる
④上昇幅に合わせて何度か切り上げていき、損切りラインを購入金額と同値までもっていく
⑤相場環境や個別銘柄の動きで上昇が止まり予想に反して下落した場合に同値で撤退する
4.同値撤退の3つの注意点
株価1000円の銘柄を購入して上昇したあと1000円まで戻ってきたら撤退するのが同値撤退です。
同値撤退をすることでいざというときに資金を減らさず、上昇する銘柄で含み益を増やしていけることがお分かりいただけたと思います。
一方で、同値撤退は良いことばかりではありません。
こちらの注意点、つまりデメリットとなる要素を確認して同値撤退の設定をしていきましょう。
4-1.注意点①:手数料分はマイナスになる
株価1000円で購入した銘柄を1000円で売却する場合、証券会社へ支払いをする手数料は加味されていません。
よって、同値で撤退したとしても証券会社へ支払う売買手数料分はマイナスになっています。
本当の同値ではなく数円上など、おおよそ同値撤退となる設定をおこない、手数料分を加味しておくのも良いですね。
4-2.注意点②:細かいトレードが増える可能性がある
銘柄によっては1日に3~5%程度の値幅があるものもめずらしくありません。
各銘柄の値幅をみながらトレードしないと、3%くらいの含み益で同値撤退の逆指値設定をしても相場全体の影響ですぐに撤退となってしまう可能性が高くなります。
少しでも損を少なくするという意味では同値撤退の設定を早めにしておくことは得策ですが、何度も同値撤退をしてしまうと細かいトレードが増えて上昇のチャンスなどを逃してしまう可能性が増えてしまいます。
4-3.注意点③:撤退後の上昇の可能性は大いにある
同値撤退をする場合には、前回の底値や投資家の心理的にここで耐えるのではというようなラインより有利なところで購入していない限り、反発のポイントの手前で撤退をしている可能性があります。
投資法にもよりますが、あまりにも上昇しはじめてすぐに購入してしまうと資金効率が悪くなってしまいます。
一方で上昇を確認してから購入すると、同値撤退の位置が高すぎて弱い投資家を振り落としている最中などに撤退してしまう可能性があります。
以上のようなケースの場合、同値撤退をしてすぐに上昇が開始されて、そこから大きく上昇する可能性もあります。
そういった上昇を取れない可能性があるため、細かい設定ではなく投資法に合わせて同値撤退または同等の設定を考えることが得策ですね。
まとめ
株式投資をする際に資金を守るために「同値撤退」を考えておくことが大切であることはお分かりいただけたと思います。
同値撤退は購入する際に決めたシナリオを自分の弱い心で含み損のまま保有してしまうこと避けるなど、資金管理の観点ではとても大切な設定です。
一方で、同値撤退は大幅な上昇をした銘柄であればよいのですが、小幅の上昇で設定をしてしまうとデメリットが生じることもあり注意が必要です。
同値撤退のメリット・デメリットをよく確認していただき、一番大切なことは「資金管理」のためであることを確実に押さえてください。
チャンスが来たときにその銘柄投資をするためには「キャッシュポジションが豊富」または「含み益の銘柄を利確して乗り換える」という必要があります。
いずれかを取るためにも、含み損とならない設定をしっかりしておきましょう。