03.ファンダメンタル編

時価総額とは?株式投資のためのわかりやすい解説と目安・計算方法

株式投資の勉強をしていると「時価総額」という言葉を聞いて「時価総額って何?」「時価総額ってよく聞くけど、どんな意味なんだろうか」と思って検索されているのではないでしょうか

 

時価総額を株式投資に活用する方法の一つに、「大型株」「中型株」「小型株」といった時価総額に応じた区分ごとに異なる戦略をうまく活用していく方法がありますね

ご自身が投資する対象を考える際に「大型株」を選択する場合には、「なぜ小型株ではなく大型株に投資をするのか」について、理由が言えるといいですね。

 

本記事では、時価総額の意味や時価総額が大きい・小さいの意味、投資への活用方法などをご紹介します。

 

1. 時価総額とは企業の価値・規模を表す指標

時価総額は、その企業の価値・規模を表す指標の一つで、この数値は株価に連動するため毎日変動します

 

「時価総額」の「時価」はその日の株価を表していて、「総額」は企業の価値・規模を表していることになりますので、この企業の株価をすべて買い取って買収する際の価格とも言えます。

時価総額が高い会社がTOB(株式公開買い付け)などで買収される可能性は非常に低いですが、時価総額が低い会社は可能性が継続しますね。

 

時価総額が高い会社は買収されるリスクも小さいので「安定企業」と言うことができますね

安定企業だから株価が上昇するわけではありませんので、NISAなど長期保有を前提としている場合には、時価総額が大きい安定した銘柄を選択するのも良いかと思います。

 

その他、国内の同業他社との企業価値の比較や世界の企業との企業価値の比較をする際に使われることがあります。

 

2. 時価総額の計算方法

時価総額の計算方法は次のとおりです。

 

株価と発行済み株式数を利用して計算していきます

 

時価総額の計算式

時価総額=株価✕発行済み株式数

 

以上から、発行済株式数が変化するケースは稀なことから、株価が上がれば時価総額が高くなるということになります。

 

発行済株式数の調べ方を確認!2分で調べる方法とデータ一覧の作成法

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時価総額の計算式から考える際のポイントと注意点です。

 

ポイント

【時価総額が変動する要因】

(株価)

・買いたい・売りたいによる日々の株価の変動

(発行済株式数)

・株式分割や資金調達などによる増資

 

注意ポイント

・株式分割をすると発行済株式数が増えますが、株価も分割されるため時価総額に変動はありません。

・資金調達のための増資の場合、投資家からすると一株利益等が減少して株価に対する価値が減少することから株価が下落するケースが多く、時価総額はすぐには上昇しません。

 

3. 時価総額を活用した分類と社数

時価総額は株式投資で活かす際には、目安として大型株・中型株・小型株という3つに区分していきます

 

ご自身の参考にしている投資法には、時価総額が使われていますか?

主には大型株・中型株・小型株に分類していきます。

時価総額を使った投資法をしている場合には、このあと読み進めてもらえればと思います

 

注意ポイント

ただし、株式市場において時価総額を区分する明確なの定義がありません。

区分についても様々考え方がありますが、ご自身の投資法に合わせて時価総額がどのように扱われているかを理解することがとても大切です。

また、時価総額の区分の追及は、勝率には直接結びつきませんので定義の深追いには注意しましょう。

 

3-1. 大型株・中型株・小型株の3種類の分類

時価総額に応じて大型株・中型株・小型株に分けて投資をしていく場合、サイトや雑誌・書籍などでさまざまな区分があります

主には投資したい銘柄が、大型株・中型株・小型株のいずれに分類される銘柄なのかによって投資する際の考え方がことなることが多いかと思います。

 

実際に「大型株・中型株・小型株」に分類していて定義が明確になっているものをご紹介します。

この3つだけでも全然違うことがお分かりいただけると思いますが、すでにご紹介のとおりご自身の投資法に合った考え方であれば特段の問題はありません

 

(1)東証の定義

東証では時価総額、流動性の基準により大型株・中型株・小型株と区分していますので、次のような基準となります。

区分基準
大型株TOPIX100
中型株TOPIX Mid400
小型株上記に含まれない銘柄すべて

 

(2)四季報の定義

四季報では時価総額を中心にり大型株・中型株・小型株と区分していますので、こ、次のような基準となります。

区分基準
大型株2・3000億以上
中型株1000~2・3000億円
小型株1000億円以下

 

(3)中小型株投資の私の表現

私の場合は時価総額1000億円以下の銘柄を投資対象にすることが多いため、こちらの区分にして中小型株投資という視点で投資家仲間と話をしています。

区分基準
大型株1000億以上
中型株300~1000億円
小型株300億円以下

 

3-2. 時価総額の規模別の社数

一つの参考として、次の表のような基準をもとに上場企業を区分した場合のそれぞれの社数を確認するとこちらのようになります。

区分基準社 数
大型株2000億以上約500社
中型株1000~2000億円約300社
小型株1000億円以下約400社
500億円以下約2500社

 

上記のような分類をした場合には、小型株(1000億円以下)が市場の約80%を占めていることが分かります。

 

4. 時価総額を活かした投資法

一般的には、大型株・中型株は値動きが小さく安定した投資ができ、株式数も多いため流動性が高くなります

 

一方で、小型株は銘柄によっては値動きが激しいので大きな利益を生む可能性が高くなりますが、流動性が低くて自由に売買ができない銘柄もあるため注意が必要です。

 

7つの項目で「大型株・中型株」と「小型株」の違いを整理しましたので、特徴として知っておくと良いかと思います

 

大型株・中型株小型株
安定性
市場の影響受けやすい受けづらい
配当・優待充実しているないの企業も多い
株価変動小さい大きい
流動性大きい小さい
情報量多い少ない
成長性

 

すでに時価総額が大きな会社に投資をすることで、配当や優待をもらいながら安定した投資をしていくのも良いかと思います。

一方で、すでに時価総額が大きくなった銘柄よりも時価総額が小さいくて今後大きく成長していきそうな銘柄を選定すると、株価の上昇が大きな銘柄に巡り合えるかと思います。

こちらは6章でご紹介します。

 

ポイント

以上の内容を整理して、時価総額を投資へ活用していく方法をまとめます。

・上場企業の約3800社は時価総額によって区分される

・時価総額が1000億円以上の企業は安定企業で株価も安定

・時価総額と株価の流動性などに注目して投資法に合わせて選定する

 

5. 時価総額の簡単な調べ方

時価総額は1章でもご紹介しましたが、株価に連動することから毎日変動します

 

2章でご説明したとおり計算をしても良いのですが、無料で確認することができますのでご自身が良く利用するツールで確認しておきましょう

 

5-1. 株探での時価総額の調べ方

株探で企業を検索すると、トップページに時価総額が表示されます。

 

検索した企業のトップに企業名や業種・PERなどが掲載されていますが、その枠の中に「時価総額」が掲載されています。

 

5-2. Yahoo!ファイナンスでの時価総額の調べ方

Yahoo!ファイナンスで企業を検索すると、トップページに時価総額が表示されます。

 

検索した企業のトップのチャートの下に参考指標の欄がありますが、その欄の一番上に「時価総額」が掲載されています。

 

6. 時価総額に関わる3つのQ&A

時価総額を投資に活かす場合に知っておきたい3のポイントについてQ&Aを作成しました。

 

6-1. 株価が同じだと時価総額は同じになる?

2章でご紹介した時価総額の計算式を振り返ると「株価✕発行済株式数」でしたね。

株価が同じ1000円だとしても発行済み株式数が異なると時価総額は大きく変わります。

 

企業株価発行済み株式数時価総額
A社1,000円1,000万株100億円
B社1,000円1億株1,000億円

 

上記のように、A社とB社が同じ株価1000円だとしても、発行済株式数が異なれば時価総額は10倍も差が付きます。

私の軸で見るとA社は「大型株」、B社は「小型株」に分類されますので、同じ株価1000円でも投資に対する考え方が大きく変わってきます。

 

6-2. 同業との比較で時価総額は使える?

同業と比較する場合に、株価が高い安いだけでは企業の価値を比較することができません。

6-1.で確認したように、同じ株価でも発行済株式数が異なれば時価総額が何倍も変わります。

 

では、次のような同業のC社とD社の違いを比較する際に時価総額が使えるか確認しましょう。

 

企業株価発行済み株式数時価総額
C社1000円1億株1000億円
D社2000円1000株200億円

 

D社の方が株価が高いので企業価値が高いように感じます。

しかし、発行済み株式数の違いによりC社の方が時価総額が大きくなりますので、C社の方が安定した企業である可能性が高くなります。

 

6-3. 時価総額が低い株を買うメリットはある?

4章でご紹介したとおり時価総額が高い株は安定していると考えられますが、「株価が10倍になる」いわゆるテンバガーになる可能性はほぼありません。

ご自身の投資スタイルによりますが、時価総額の低い企業はビックチェンジがおこると一気に会社の業績が成長し株価も成長する可能性を秘めています。

 

ポイント

【時価総額が低い株を買う3つのメリット】

・企業の成長余地が大きい

・ビックチェンジがおこると株価が急騰する可能性がある

・機関投資家の資金流入により値動きが良くなる可能性がある

 

時価総額が低い株に変化が起きやすいパターンとしては、オニールのCAN-SLIMの「N」を参考にするといいですね。

主には「新興企業や新製品、新経営陣といった市場や企業内の変化」です。

 

CANSLIMの「N」だけに注目!【オニール流】投資への活用術

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7. 日本企業の時価総額のトップ10

日本の上場企業のうち時価総額のトップ10を見てみると、どの企業も知名度の高くて安定した企業になりますね。

 

1位のトヨタは36兆円ですし、10位の信越化も7.9兆円になります。

1位と10位の時価総額を比較すると、1位のトヨタがどれほど時価総額が高い企業であるかが分かりますね。

 

2022年1月30日現在のトップ10を掲載します。

銘柄コード銘柄名時価総額
1位7203トヨタ364,966億円
2位6758ソニーG154,293億円
3位6861キーエンス139,455億円
4位9432NTT117,353億円
5位8306三菱UFJ93,054億円
6位6098リクルート89,971億円
7位8035東エレク83,275億円
8位9984SBG82,616億円
9位9433KDDI81,775億円
10位4063信越化79,145億円

 

さいごに

時価総額についてご紹介してきましたが、時価総額は会社の価値を表す指標になることがお分かりいただけたと思います。

 

時価総額が高い会社を購入すればよいというものではなく、自分の投資スタイルが大型株投資なのか、配当・優待投資なのか、バリュー投資なのかによって時価総額の捉え方が異なってくるということがお分かりいただけたと思います。

 

また、時価総額が上場してからずっと低いままの企業は、企業価値が上がっていない可能性があります。また、一定期間時価総額が変化しない企業もまた同じです。

数値だけを見るのではなく、変化やその理由についてしっかりとファンダメンタル分析をしていきましょう。

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▶「株式投資×IT活用」を考える兼業投資家
▶ ファイナンシャルプランナーを活かし学んだことをFP視点でアウトプットし、 個人ができるIT活用・効率化ツールの自作版も公開
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