「逆指値注文で買い注文を入れる」という話を聞いたが、なぜわざわざ高い価格で購入するように注文を入れるのだろうか。という疑問をお持ちではないでしょうか。
または、「逆指値は損切りや利益確定する注文で、買て注文で使うの?」という疑問をお持ちではないでしょうか。
株式投資は「割安」な銘柄を購入することで利益を得るという解説が多いので、どちらの疑問も不思議なお話かもしれませんね。
しかし、逆指値で買い注文を入れることは、株式投資の前提である割安で購入して、割高で利益確定をしていく流れに全く逆らっていないのです。むしろ同じ意見で同じ手法ですが、見ている株価が違うというところが最も大きな差になるかと思います。
本記事では、逆指値の買い注文をする理由やメリット、実際に逆指値注文を入れる手順についてご紹介をしていきます。
目次
1. 逆指値注文で買い注文をするのは「勢いに乗るため」
逆指値注文で買い注文を出しておいて約定したということは、注文を出した時点より株価が上昇しており、「この株価を突き抜けてほしい」という株価を突き抜けたということになります。
株価はこちらのチャートのようにある特定の価格を抜けると大幅に上昇するケースがあります。
こちらのチャートは「前回の高値」を抜けたあと大幅に上昇しており、その勢いも強くてこの勢いには乗りたいと思いますよね。
こちらのチャートのように今日時点で上昇を見越して購入した場合に、結果的に上昇をすれば結果オーライですが、株式投資はなかなか思ったようにいきません。
逆指値注文で買い注文をするのは、前回高値を超えた後に大幅な上昇をする銘柄、つまり勢いのある銘柄の勢いに乗るための効果的な注文ということになります。
※この方法は前回高値だけが基準ではなく、ご自身の売買のポイントに合わせて活用できます。
2. 逆指値注文で買い注文をするイメージ
逆指値注文で買いを入れた場合、効果的に上昇をとれるというイメージを持っていただけた思いますが、実際に注文を入れるタイミングのイメージはこちらになります。
「今日」の時点で前回の高値を超えたら購入するという注文を入れておきます。
ファンダメンタル分析や目標株価の計算などをして、「この銘柄は大幅に株価が上昇する可能性がある」と思っていても、チャート上の「今日」の時点ではいつ上昇するのかが分からないのが課題ですね。
上記のチャートは結果的に上昇したので良かったのですが、まだまだBOXが続く可能性やここから下落する可能性など前回の高値を超えられない可能性などがあります。
同じ「このあと株価が上昇する」と思った銘柄であっても、「いつかあがる」という将来を見越した投資ではなく、上昇を確認してから「この上昇に乗る」という投資の方が効果的な投資になるため、逆指値注文で買い注文を入れておくことになります。
(参考)指値と逆指値の違い
株を購入する場合、指定した価格で購入する場合には「指値注文で買い注文を入れるのでは?」と思われる方もいらっしゃいます。
指値注文は売買で使うイメージがあり、逆指値注文は現在の価格より株価が下がった場合の利確や損切りなど決済のイメージがあるので混乱することもありますね。
注 文 | 注文条件 |
指値注文 | 買い注文は、指定した値段以下の売り注文が出れば買い |
逆指値注文 | 買い注文は、指定した値段以上の売り注文が出れば買い |
3. 逆指値注文で買い注文をする3つのメリット
ここまでの内容を確認しても、まだまだ高値掴みのイメージがあったり、活用に躊躇する場合もあるかと思います。
逆指値注文での買いは、ここまでご紹介してきたとおり株価が勢いよく上昇するタイミングにしっかりと乗っていくための方法です。
そのことを前提として、逆指値注文で買い注文をするメリットについてご紹介をしていきます。
注意ポイント
底値で購入するなど他の投資法とミックスして考えたり、バリュー投資のように長期投資をしながら上昇を取っていく投資とは異なりますので、この点は注意しましょう。
3-1. 高値掴みではなくブレイク後の購入ができる
ストップ高になった銘柄や、上昇してしまった銘柄を単純に高値掴みするものではありません。
新高値ブレイク投資法などは、VCPやカップウィズハンドルを組み合わせることで直前の高値を超えたあと勢いが付いて大きな上昇があり、短い期間で大きな利益を取っていくような手法で活用します。
先ほどの図をもう一度見てみると、今日の時点から見ると注文したポイントは気持ちの上では高値ではありますが、意味もなくこのタイミングで購入するわけではありません。
前回の高値を超えたことでこの銘柄を保有している投資家の大半が利益が出ている状況になりますし、このチャートであればカップウィズハンドルからブレイクして上昇しているため弱い投資家を振り落として上昇すると思っている株主が多い状態で買い注文ができたことになります。
その他、逆指値を活用して買い注文を出したあとに上昇していくには出来高などの別の要件も含まれますが、このタイミングでエントリーをしてから他の投資家の動向を見て、この後のアクションを考えることが大切です。
ご自身でザラ場を見ていたり、頻繁にチャートチェックをしていて前回高値を抜けた時点で注文を出せる場合には良いのですが、そうではない場合には「逆指値注文での買い」がメリットになりますね。
3-2. フライング投資によるだまし・下落を避ける
ファンダメンタル分析をしたり、目標株価を計算したり、誰かから良い銘柄の話を聞いたりすると、どうしてもすぐに購入したくなります。
しかし、株式投資は「良い銘柄なら必ず上昇する」ことがないというのが難しいところであり、結果的に1年後に2倍になっていても今日の株価から一度大幅に下落したり、今回はBOXを抜けられずに半年ほどダラダラと株価が上にも下にもいかないケースもあります。
よって、「今日」の時点でフライングして購入するとだましにあったり、下落に巻き込まれたりする可能性がありますで、それを避ける方法を取った方がいいですよね。
こちらの3つのパターンで見ておきましょう
上記のようなチャートの状況で、良い銘柄とわかると今日の時点で買いたくなりますね。
アタマの中は①になることだけをイメージしてしまい、②③などの状況になるとどうしてもこの銘柄に対して文句を言いたくなってしまう投資家さんが多くいます。
いくら今日の時点で購入した方が割安なところで買えると思っても、そのあとの②のようにBOXまたはヨコヨコで上昇せず留まっていたり、③のようにここから下落が始まってしまうと、割安かつ良いタイミングで購入したとは到底言えません。
このようなだましや下落をさけるためにも、逆指値注文の買い注文を使って上昇する確率が高くなる前回高値などのポイントを超えてたことを確認したのちに投資をする方が、成功につながる可能性が高いことが分かります。
3-3. 資金と時間を有効活用できる
投資をする資金が豊富にあったり、一定の資金を長期投資に使えるなどの時間と資金に余裕がある方は良いのですが、少ない投資資金を最大限有効活用したい、早く成果を出したいと思っている方は保有銘柄に変化が無いとモチベーションがあがりませんよね。
ご自身が上昇すると思って購入しても、その銘柄が上昇しなかった場合には保有を続けるかどうか悩むことになります。
結局、手放してすぐに上昇するとくやしいので、継続して保有することになるケースが多く、自己資金を有効に活用できないという状況になりますよね。
あわせて上昇を待っていたり、暫く持っていて損切りをする場合には時間効率も悪いですし、この銘柄が結果的に上昇しても上昇したタイミングまで待った方が時間効率はいいですよね。
逆指値注文で買い注文を入れておけば、資金や時間の無駄が無くなるので大きなメリットですね。
4. 逆指値注文で買い注文をする手順
では、具体的に逆指値注文で買い注文をする手順を確認していきましょう。
今回は楽天証券でパソコンで購入する方法についてご紹介をしていきます。
例えば、終値が1073円の銘柄に対して、1200円を超えたら購入するという逆指値の買い注文を出すことを想定します。
①買い注文ですので「現物買い注文」の画面を開く
②普段は「通常注文」ですが、「逆指値注文」を選択する
③数量はとりあえず100株とする
④逆指値はトリガー情報(発動条件)が必要なので
「市場価格が1200円以上なら」とする
⑤トリガー条件のあとの注文は「指値」または「成行」
➅今回は成行で注文するので「成行」を選択する
※1200円で指値でも良い
⑦これで準備完了
今までは、なかなか買い注文の注文画面に「逆指値」があることも気にされなかった可能性がありますが、買い注文の画面には逆指値注文の欄がありますのでご自身が使っている証券会社で確認をしてみてください。
さいごに
逆指値注文で買い注文を出すことの意義と、どのような投資法であれば逆指値注文で買い注文を出すことが効果的になるのかがお分かりいただけたでしょうか。
いわゆる割安なタイミングでバリュー株を購入するというような長期目線での取引手法では利用しない注文になると思います。
時間効率・資金効率を考えて、株価が大幅に上昇する可能性があるタイミングを逃さずに注文をするためにはとても効率的な注文方法となりますので、高値ブレイクをしたら株を買うような投資法の場合にはぜひ効果的に使っていくと良いかと思います。